新しい部門の立ち上げ時に奮闘し
現在はサイトマネジメントのトップランナーに

M. O. ヘマトロジー・オンコロジー事業部門 CAR T統括部 サイトマネジメント部

2023/09/05     

常にチャレンジ精神を忘れずに進んでいきたいと話すのは、CAR T統括部で施設認証に携わるO。バイタリティ溢れる彼女の原動力の秘密とCAR Tに携わる仕事の面白さと難しさについて話を聞いた。

MRから始まりサイトマネジメントに
常に挑戦を続けてきました

幼いころから、医療系か法律系の仕事に就きたいという夢を持っていたO。大学は、法学部法律学科に進学し、新卒で外資系の製薬メーカーにMRとして入社。その後、MR、そしてAMG(アカウントマメジメント)と順調にキャリアを重ね、さらなるチャレンジをしたいとブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)へ転職を決意したという。

「キャリアアップを考えたときに、新しい仕事をやってみたい、それならば30代のうちにと思って転職を決意しました。BMSは2つのCAR T製品を持ち、その施設認証に関わる仕事が立ち上げのタイミングだったので、ぜひこの新しい仕事にチャレンジしてみたいと思いました」。

CAR T(キメラ抗原受容体T細胞療法)とは、がんを患う患者さんの血液からT細胞を含む末梢血単核球(PBMC)を採取し、その細胞に遺伝子導入を行ってCAR T細胞を製造・調製し、患者さんの体内へ投与するもので、オーダーメイドの治療薬として注目を集めている治療方法である。

「CAR Tの施設認証の説明は難しいのですが、患者さんの血液を採取、投与する病院との密な連携が不可欠です。血液を凍結するなどの手順が必要なため、CAR Tに携わる施設は厳しい要件をクリアしたり、所定のトレーニングを受けたりしなければなりません。そのためのお手伝いをするのが、サイトマネジメントの仕事です」。

Oは、立ち上げメンバーに入れて嬉しかったと話すが、当初は困難の連続だったという。CAR T施設の認証を受けるのには、膨大な手続きが必要となるが、医師や技師の方から問い合わせが来ても、最初の頃は、その用語の意味さえよくわからなかったそうだ。

「業務に詳しい同僚がいたので、毎日遅くまで話をしていろいろと教えてもらいました。同僚から渡された参考資料がすべて英語で書かれていて、日本語でも意味がよくわからないのにと悩んだこともありました」。

それでも、持ち前の粘り強さで1件ずつ施設認証の要件をクリアしていき、現在では14件もの施設認証に立ち会った実績を持つ。「この数は他社を含めても、おそらく一番多い立ち上げを経験させていただいたと思います」と胸を張る。

イレギュラーな事態が起こっても
チームの連携で解決を目指します

「患者さんの血液からT細胞を含む末梢血単核球(PBMC)を採取することを白血球アフェレーシスといいます。採取したPBMCは、日本およびアメリカの施設に送られ、加工をします。ところが、例えばアフェレーシスの最中や前後に患者さんの体調が悪くなるなどのイレギュラーな事態が起こったら、各部署のスタッフがフル回転して対応しなければなりません」。

「アフェレーシスが終わっていない場合は、まず何時までに終わらなければいけないのかを確認するところから始まります。患者さんの白血球を凍結してアメリカに運ぶため、どうしてもピックアップの時間には限りがあり、その日を逃せば翌日改めてという訳にはいきません。製造施設での予約も一杯なので、チャンスを逃すと次の順番が回ってこない可能性が高いからです」。Oはスケジューリングチームのメンバーと一緒に、ロジスティクス(輸送)の手配や医師への説明に奔走する。

「私は患者さんにお会いすることはできないのですが、お顔を拝見していないだけで、患者さんとはすごく繋がっていると感じています。ただ、その患者さんというのは、具体的な『誰か』ではなくて、今、薬を必要としている人、将来、薬が必要になる人というイメージです。それくらい大きなイメージを持っていたほうが、きっと多くの方に薬が届くと思っていて、それが私の思い描く『Patient Centricity(患者さん中心)』です。ですから、必要としている方々へ薬が確実に届くように、毎日必死でやっています」。

キャリアを後押ししてくれる
風通しのいい社風が気に入っています

MRからAMG、そしてサイトマネジメントとキャリアを積み重ねてきたOに、次はどのような展望を描いているのか聞いてみた。

「サイトマネジメントの仕事を経験して、それがきっかけで初めて知ったポジションがあります。それは品質保証に関わる監査を手掛けるアフェレーシス・オーディターです。私は文系なので、このポジションには携われないのかと思っていたのですが、実際に従事している方や品質保証部門の方々に話を伺ったところ、『それは関係ないよ』と」。

自分がMRからスタートして、サイトマネジメントに携わり、さらに今後、現在所属するコマーシャル部門とは異なる部署で業務に関わることができれば、CAR Tを軸とした新たなキャリア形成のロールモデルになれるのではとOは考えている。BMSの風通しのいい社風が、その考えを後押ししてくれるという。

「自分のキャリアについて上司と相談できる環境はもちろんのこと、社内公募や社内の他部署の仕事を数か月という単位で経験できる短期アサインメント制度(TOD:Tour of Duty)などが充実しているので、思いがけないキャリアにチャレンジすることができます」。

実際、Oはこの4月からTOD制度を活用し、希望していたアフェレーシス・オーディターの業務を経験している。しかも今回は日本国内ではなく、グローバルと日本の部門間でのTODである。アフェレーシス・オーディターはCAR Tを取り扱う医療施設のアフェレーシスに関する監査を手掛けたり、認証後もBMSが定める基準・手順に則った業務を遂行しているかを確認したりするのが主な仕事である。サイトマネジメントの業務とは異なる高い専門性が求められるほか、米国本社とのより密接な連携が欠かせない。

「監査後に短期間で報告書を提出したり、米国の上司と英語でコミュニケーションしたりと、毎日が新たなチャレンジの連続ですが、これまでとは違う環境で充実した日々を過ごしています。自分が実際に携わってみて、今まで当たり前だと思っていた医薬品の高いクオリティの裏には、品質保証に関わる皆さんの計り知れない労力と医療施設の多大なるご協力があることを改めて実感しました。TODで習得した知見やスキルを今後の業務にフルに活かしていきたいです」。

また、今回のTOD制度の利用にあたってOが強く感じているのは、上長をはじめとする周りの手厚いサポートがあったこと。

「キャリアを後押ししてくれるのは、BMSのすごくいいところだと思っています。社内公募に応募したり、TODを使ったり、新しいことにトライしたい人にはいろいろな道が開かれています」。

彼女の笑顔には、常に新しい挑戦を続けてきた自信と輝きが秘められている。