幼いころから、医療系か法律系の仕事に就きたいという夢を持っていたO。大学は、法学部法律学科に進学し、新卒で外資系の製薬メーカーにMRとして入社。その後、MR、そしてAMG(アカウントマメジメント)と順調にキャリアを重ね、さらなるチャレンジをしたいとブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)へ転職を決意したという。
「キャリアアップを考えたときに、新しい仕事をやってみたい、それならば30代のうちにと思って転職を決意しました。BMSは2つのCAR T製品を持ち、その施設認証に関わる仕事が立ち上げのタイミングだったので、ぜひこの新しい仕事にチャレンジしてみたいと思いました」。
CAR T(キメラ抗原受容体T細胞療法)とは、がんを患う患者さんの血液からT細胞を含む末梢血単核球(PBMC)を採取し、その細胞に遺伝子導入を行ってCAR T細胞を製造・調製し、患者さんの体内へ投与するもので、オーダーメイドの治療薬として注目を集めている治療方法である。
「CAR Tの施設認証の説明は難しいのですが、患者さんの血液を採取、投与する病院との密な連携が不可欠です。血液を凍結するなどの手順が必要なため、CAR Tに携わる施設は厳しい要件をクリアしたり、所定のトレーニングを受けたりしなければなりません。そのためのお手伝いをするのが、サイトマネジメントの仕事です」。
Oは、立ち上げメンバーに入れて嬉しかったと話すが、当初は困難の連続だったという。CAR T施設の認証を受けるのには、膨大な手続きが必要となるが、医師や技師の方から問い合わせが来ても、最初の頃は、その用語の意味さえよくわからなかったそうだ。
「業務に詳しい同僚がいたので、毎日遅くまで話をしていろいろと教えてもらいました。同僚から渡された参考資料がすべて英語で書かれていて、日本語でも意味がよくわからないのにと悩んだこともありました」。
それでも、持ち前の粘り強さで1件ずつ施設認証の要件をクリアしていき、現在では14件もの施設認証に立ち会った実績を持つ。「この数は他社を含めても、おそらく一番多い立ち上げを経験させていただいたと思います」と胸を張る。