乾癬の主要な評価指標を理解する
医療従事者と患者さんが協力して治療計画を立てるためには、乾癬の重症度と患者さんの日常生活への影響を理解することが重要です。乾癬がからだや心に与える影響や、治療の効果を評価するために、いくつかの指標が用いられています。
以下に示すのは、乾癬の重症度や治療後の改善度を評価するために用いられる一般的な指標です。これらの指標のいくつかは、新しい乾癬治療の効果を評価するための臨床研究でも使用されています。
臨床評価指標
臨床評価指標は、医師が疾患の重症度や治療の有効性について評価するために使用します。
体表面積に占める乾癬の症状がある皮膚の面積の割合を示す指標で、乾癬の経過をみるために使用します。手のひら1枚分をBSAの約1%として評価します。BSAが3%未満であれば軽症、3~10%は中等症、10%を超えると重症の乾癬とみなされます。
乾癬病変の面積と重症度を考慮して、乾癬の疾患活動性を評価します。PASI 75は臨床試験において、疾患の全体的な範囲と重症度の改善を評価するための主要評価項目として使用されることが多く、治療の成功を評価する1つの指標です。PASI 75の達成は、臨床試験の開始時から75%改善したことを示します。
ある時点での疾患の重症度を評価する指標で、乾癬病変の厚み(硬結:こうけつ)、赤み(紅斑:こうはん)、皮膚の白色や銀色の鱗屑(落屑:らくせつ)の有無を評価します。0から5までの尺度で測定し、0は「なし」、5は「重度」として評価します。sPGA 0/1は臨床試験において、治療の有効性を評価するための評価項目としてよく使用され、皮膚症状がない、またはほぼないことを示します。
特に頭皮に関連する疾患の重症度を評価するための指標です。ss-PGA 0/1は臨床試験において評価項目としてよく用いられ、頭皮の症状がない、またはほぼないことを示します。
特に爪に関連する乾癬の重症度を評価するための指標です。PGA-F 0/1は臨床試験において評価項目として使用されることがあり、爪に乾癬症状がない、またはほぼないことを示します。
患者アンケートによる評価指標
患者アンケートによる評価指標は、質問票を使用して、患者さん自身が乾癬の状態、治療満足度、生活の質への影響について評価します。質問票にはいくつかの種類がありますが、以下に一例を示します。
11項目の質問で構成され、過去24時間または7日間の乾癬の徴候と症状(皮膚のかゆみ、痛み、つっぱり感、赤みなど)の影響と重症度を評価します。それぞれの質問に対して頻度と重症度を10点満点で評価し、0点は「全くない」、10点は「非常に重い」とします。点数が高いほど、重症度が高いことを示します。
10項目の質問で構成され、過去1週間の乾癬の影響(仕事や勉強、スポーツやレジャー活動、日常生活、対人関係、身体的/感情的幸福感など)について評価します。4点満点で評価し、0点は「影響なし」、4は「大きな影響がある」とします。点数が高いほど、生活の質が損なわれていることを示します。
23項目の質問で構成され、治療全体において患者さんの目標(治療による障害の軽減、治癒への確信、社会的・心理的・身体的障害の軽減など)が達成されたどうかを評価します。
25項目の質問で構成され、疾患と治療が仕事に与える影響(時間管理、身体活動、集中力・対人関係、仕事の結果)について評価します。仕事の生産性低下を評価することができます。
1項目のみの質問で、過去24時間で最も強かった頭皮のかゆみを評価します。
この重大な免疫介在性疾患に関する詳しい情報は、乾癬ファクトシートをお読みください。