2007年3月、勤続20年のリフレッシュ休暇を取り、山梨県小淵沢に約1週間滞在、毎日10キロ以上のウオーキングをしていたという佐藤さん。当時は、まさに健康そのものだとご自身では思っていました。
「リフレッシュ休暇の直前に人間ドックを受診したんです。その結果の中に血液検査の再検査の指示がありました。でも体調が良かったので、再検査では問題なしになるのではないかと思っていました」。
しかし、再度行った血液検査の値にも異常があり、血液内科で詳しい検査をするように指示されました。その際病名に関する詳しい説明はありませんでしたが、医師の説明内容からキーポイントになる単語を聞き、佐藤さんは自分で情報を調べ始めます。そこで、多発性骨髄腫の可能性があることを知りました。それは初めて聞いた病名でした。
「調べたことがもし当たっているならば、これは大変なことになってしまったという気持ちでした。ただ、まだ確定したわけではないので、どっちつかずの落ち着かない気分でした」。
その後、総合病院で血液検査に加え骨髄検査やレントゲン検査等を行い、4月に多発性骨髄腫の確定診断を受けました。その日はちょうど病院の隣の公園の桜が満開でした。
「それまでは手放しにただきれいだなと思って桜を見ていましたが、その時は自分だけが今までとは違う世界に行ってしまったような気持ちになりました。その年以降は、桜を見ると一年間無事に過ごせたことに感謝するのと同時に、告知時の不安も思い出し複雑な気持ちになります」。
確定診断を受けた病院で、5月から入院して自家移植(自家造血幹細胞移植を伴う大量化学療法)をすることになりました。佐藤さんはICT企業で医療情報システムに関わる業務も担当していたことから、病院によって医師や設備などに違いがあることを知っていました。そこで治療を受ける病院を自ら選ぶため、積極的にセカンドオピニオンを受けることにしました。いくつかの病院で話を聞いたのち、信頼できる現在の主治医と出会い治療を継続しています。