Lが担当している業務は、会社が持っている資源を効率よく活用できるよう、経営陣が適切なタイミングで的確な判断を下すための情報提供をすることです。
「例えば、薬を売ったら利益が出ますが、それを的確に投資できれば、いい薬をより早いタイミングで多くの患者さんに届けられます。その意思決定をしていくための手助けになるように、予算と投資のプランを作成しています。時期や薬剤の種類によって、投資するのが人材なのか設備なのか、リソースの配分がいろいろと変わってきます。そうやって計画を立てて、実行後はどれだけ計画通りにできたのかの確認も行っています。問題点があればその理由を突き詰め、経営陣が迅速に解決できるよう情報を提供しています」。
Lの担当はCAR T部門のファイナンスで、患者さん個人の細胞を採取加工し再度投与する新たな細胞療法であるCAR Tならではの特徴を踏まえた仕事を行っています。例えば、収益分析の方法も他のプロダクトとは大きく異なると言います。
「何万、何十万という単位で出荷されるプロダクトとは違い、CAR Tは一人ひとりの患者さんにカスタマイズされた治療ですので、状況を個別に把握することが可能です。例えば、売り上げが予想より良かった場合、予定より早く患者さんへのデリバリーが完了し、そのため計画より早く売り上げを計上することができたというような要因までクリアに見ることができます。このようにビジネスとの距離がぐっと縮まって鮮明に見えるという経験は、今までにはなかったことでした」。
事業部門をファイナンス面で支えているLにとって、今目指しているのは「頼れるパートナー」になることです。
「毎年予算の時期になると、今年度の事業活動のまとめを含めた来年度の計画を立てるのですが、その中で説得力を持たせるために色々な数字が必要になってきます。そのようなときに必要な計算をして、提供した数字が結果に結びついたり、環境が厳しい中でも事業部の方と一緒に作り上げた予算が認められたりするときに、この仕事の醍醐味を感じます」。
Lの担当は日本の一事業部門ですが、他のチームメンバーと協力して、最終的には日本全体のプランを米国本社に提出します。本社サイドは、他のマーケットの状況と照らし合わせて、投資する先や金額に関する判断を行います。
「世界各国で事業を展開しているグローバル企業で働く私たちにとって、日本のプレゼンスを高めていくことは極めて重要です。本社との様々なコミュニケーションを通じて、日本が認められて、成長していくマーケットとして日本への投資を続けようと言ってもらえることは、私を含めてチーム全員が一番やりがいを感じている点だと思います」。