
プレスリリース
選択的心筋ミオシン阻害剤 カムザイオス®、閉塞性肥大型心筋症に係る製造販売承認を取得
カムザイオス
2025/03/27
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
※本プレスリリースに記載されている情報(本邦未承認情報を含む)は、ブリストル マイヤーズ スクイブに関連する最新情報をステークホルダーの皆様にお知らせするものであり、医薬品のプロモーションや宣伝・広告を目的とするものではありません。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は本日、選択的心筋ミオシン阻害剤『カムザイオス®カプセル1mg、同カプセル2.5mg、同カプセル5mg』(一般名:マバカムテン、以下カムザイオス®)について、閉塞性肥大型心筋症(HOCM: obstructive hypertrophic cardiomyopathy)を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得しました。カムザイオス®は、HOCMの根本的な病態生理を標的とする初めてかつ唯一の心筋ミオシンに対する低分子の選択的心筋ミオシン阻害剤です。
肥大型心筋症(HCM)は、他の心疾患や全身性疾患など心室肥大(心室壁厚の増加)を起こす明らかな原因がないにも関わらず、心室肥大が認められる原発性の心筋症であり、左室流出路閉塞の有無により閉塞性と非閉塞性に大別されます。HOCM患者さんの臨床症状は個々でその程度は異なりますが、症状を有する場合、安静時又は労作時の息切れ、疲労、胸痛、立ちくらみ、失神が認められます。これらの症状は従来、有効な治療がない中で徐々に悪化し、身体的負荷が増え、患者さんやご家族の日常生活に多大な影響を及ぼしていました。
本承認は、主に国内第Ⅲ相試験(CV027004/HORIZON-HCM試験)および海外第Ⅲ相試験(MYK-461-005/EXPLORER-HCM試験)の結果に基づいています。HORIZON-HCM試験は、日本人のHOCM患者を対象に本剤の有効性、安全性を評価した非盲検単群試験です。主要評価項目である投与30週後の運動負荷後の左室流出路圧較差のベースラインからの変化量は、-60.7mmHg(95%信頼区間[CI]: -71.54~-49.86)でした。なお、投与54週後までの副作用発現頻度は2.6%(1/38例)であり、認められた副作用は動悸でした。重篤な副作用は認められませんでした。一方、EXPLORER-HCM試験は、HOCM患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験です。主要評価項目である投与30週後における臨床的奏効(「心肺運動負荷試験(CPET)で測定された最大酸素摂取量(pVO2)の1.5mL/kg/min以上の増加、かつNYHA(New York Heart Association)心機能分類のⅠ度以上の改善」又は「pVO2の3.0mL/kg/min以上の増加、かつNYHA心機能分類の悪化なし」のいずれかを満たす)割合は、本剤群が36.6%(45/123例)、プラセボ群が17.2%(22/128例)(群間差:19.4%、95%信頼区間[CI]:8.67, 30.13、p=0.0005)でした。副次評価項目であるベースラインから投与30週後までの運動負荷後の左室流出路圧較差変化量は、本剤群 -47.2mmHg、プラセボ群 -10.4mmHg(群間差:-35.6mmHg、95%[CI]:-43.15, -28.06)でした。なお、投与38週後までに認められた副作用発現頻度は、本剤投与群で15.4%(19/123例)、プラセボ群で14.1%(18/128例)。主な副作用は、浮動性めまい(本剤群4.1%、プラセボ群2.3%)、頭痛(3.3%、1.6%)心房細動(ともに1.6%)、不眠症(1.6%、0%)、呼吸困難(1.6%、0.8%)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社研究開発本部長のアンジェラ デイビスは、次のように述べています。「慢性かつ進行性の疾患である閉塞性肥大型心筋症の患者さんとそのご家族は、長い間、新たな治療選択肢を待ち望んでいました。日本の患者さんは、この疾患の根本的な病態生理を治療するファースト・イン・クラスの心筋ミオシン阻害剤であるカムザイオス®を新たな治療選択肢として得ることになります。私たちは、今回の承認が患者さんとご家族にとってどれほど重要なマイルストーンであるかを理解しています。本剤をいち早く治療にお役立ていただけるよう引き続き尽力してまいります」。
国内第Ⅲ相試験(CV027004/HORIZON-HCM試験)について
HORIZON-HCM試験は、日本人の症候性のHOCM患者38例を対象とした非盲検単群試験です。本剤を30週間投与したときの有効性、安全性及び忍容性並びに本剤の長期的影響を評価することが目的です。
海外第Ⅲ相試験(MYK-461-005/EXPLORER-HCM試験)について
EXPLORER-HCM試験は、症候性のHOCM患者251例(本剤群123例、プラセボ群128例)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験です。本剤の有効性を検証、安全性及び忍容性を評価することが目的です。
カムザイオス®について
心筋の収縮及び弛緩は、サルコメア内のアクチン及びミオシンのクロスブリッジ(架橋)形成に依存しており、ミオシンヘッドがアクチンと強く結合するクロスブリッジを形成し、エネルギーとしてアデノシン三リン酸(ATP)を消費して心筋を収縮させます。HCMのサルコメアでは、過剰な数のミオシンがクロスブリッジを形成する(動員される)ことにより心筋の過収縮が生じると考えられていますⅰ。カムザイオス®は心筋ミオシンに対する低分子の選択的心筋ミオシン阻害剤であり、ミオシンとアクチンのクロスブリッジ形成を抑制することでⅱ、心筋の収縮力を減弱させⅲ、心筋のエネルギー代謝を改善する新規作用機序を有する低分子化合物です。2024年11月末時点で米国、欧州を含む51の国または地域で承認されています。
【製品概要】
販売名 |
カムザイオス®カプセル1mg、同カプセル2.5mg、同カプセル5mg |
一般名 |
マバカムテン |
製造販売承認日 |
2025年3月27日 |
効能又は効果 |
閉塞性肥大型心筋症 |
用法及び用量 |
通常、成人にはマバカムテンとして2.5mgを1日1回経口投与から開始し、患者の状態に応じて適宜増減する。ただし、最大投与量は1回15mgとする。 |
製造販売元 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
参照文献
ⅰ Nag S, et al.:Sci Adv. 2023;9:eabo7622(PMID:37506209)
ⅱ Kawas RF, et al.:J Biol Chem. 2017;292:16571-16577(PMID:28808052)
ⅲ Green, EM, et al.:Science. 2016;351:617-621(PMID:26912705)
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルバイオファーマ企業です。詳細は、bms.com/jp、LinkedIn、Facebook、YouTube、Instagramをご覧ください。
本件に関するお問合せ先
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
コーポレート・アフェアーズ
Email: ca@bms.com