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プレスリリース

CAR T細胞療法「ブレヤンジ®静注」、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の二次治療に対する承認を取得

がん領域

2022/12/20

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

※本資料はプレスリリースであり、医薬品のプロモーションや宣伝広告を目的とするものではありません。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は本日、CD19を標的とするCAR T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変自家T細胞療法)「ブレヤンジ®静注」(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル、以下ブレヤンジ)について、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の二次治療として、再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。

今回の承認は、自家造血幹細胞移植適応患者を対象とした国際共同第III相試験(JCAR017-BCM-003試験)、並びに自家造血幹細胞移植非適応患者を対象とした海外第Ⅱ相試験(017006試験)および国際共同第Ⅱ相試験(JCAR017-BCM-001試験)コホート2を含む、一次治療後の再発又は難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした臨床試験の成績にもとづいています。一次治療後に再発又は難治性の自家造血幹細胞移植適応のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者184例(日本人9例を含む)を対象に、ブレヤンジ群と標準療法群(救援化学免疫療法および自家造血幹細胞移植併用大量化学療法)をランダム化比較したJCAR017-BCM-003試験の中間解析では、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)において、ブレヤンジ群は標準療法群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善[HR = 0.349(95% CI:0.229~0.530)、p < 0.0001]を示し、ブレヤンジ群のEFS中央値は、標準療法群の2.3ヵ月(95% CI:2.2~4.3)と比べて、10.1 ヵ月(95%CI:6.1~NE)と約8ヵ月の延長を示しました。主な副次評価項目である完全奏効割合[ブレヤンジ群:66.3%(95% CI:55.7~75.8)、標準療法群39.1%(95%CI:29.1~49.9)、p < 0.0001]および無増悪生存期間(PFS)[HR = 0.406(95% CI:0.250~0.659)、p = 0.0001]についても、標準療法群と比較してブレヤンジ群で統計学的に有意な改善が認められました。PFSの中央値は、ブレヤンジ群で14.8ヵ月(95%CI:6.6~NE)、標準療法群で5.7ヵ月(95% CI:3.9~9.4)でした。

一次治療後の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫患者で認められたブレヤンジ群の全般的な安全性プロファイルは、前治療歴数が2つ以上の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫患者で認められたものと同様であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。ブレヤンジの安全性プロファイルは確立されており、JCAR017-BCM-003試験の中間解析では、ブレヤンジ群で発現したサイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性は概して低グレードで、ステロイドの予防投与を必要とせずに、標準的な治療方法により多くの場合で速やかに回復しました。グレード4またはグレード5のCRSおよび神経毒性は報告されませんでした。グレードを問わないCRSは49%(45/92)の患者で報告され、グレード3のCRSは1.1%の患者で報告されました。また、ブレヤンジ群の12%(11/92)でグレードを問わない神経毒性が報告され、グレード3の神経毒性は4%でした。

今回の承認取得にあたり、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社研究開発本部長の杉田真は次のように述べています。「当社のブレヤンジについて、自家造血幹細胞移植への適応の有無にかかわらず、再発又は難治性LBCLの二次治療としての使用が認められたことを大変嬉しく思います。今回の承認は細胞療法という新しい治療法にとって大きな前進であり、より早期にCAR T細胞療法という新たな治療選択肢が加わることは、一次治療に難治性か再発したLBCL患者さんやご家族にとっての希望につながると信じています。私たちは、サイエンスを通じて患者さんの人生に違いをもたらすために、これからも治療が困難な疾患に対するソリューションの研究・開発により一層注力します。」

 

大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)について


LBCLには、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)をはじめとする複数の病型が含まれます。DLBCLを含む日本における悪性リンパ腫の年間罹患数は約3.6万人(2019年)、年間死亡者数は約1.3万人(2020年)と報告されています1。悪性リンパ腫の大半を占める非ホジキンリンパ腫は一般に、由来細胞(B細胞、T細胞またはナチュラルキラー細胞)とリンパ球の分化状態に基づいて細分化され2、日本では非ホジキンリンパ腫の約70%がB細胞非ホジキンリンパ腫に分類されます3。中でもDLBCLは国内の悪性リンパ腫の30~45%を占める最も発生頻度の高い病型3,4,5で、高齢者に多くみられます1

 

再発または難治性大細胞型B細胞リンパ腫に対するアンメットメディカルニーズ


LBCL患者の約60%は、一次治療の化学免疫療法後に長期奏効を達成しますが6、残りの患者は一次治療に難治性であるか、一定期間の奏効後に再発します。移植を行う見込みのある患者の場合は、長期の病勢コントロールを目的として二次治療の救援化学免疫療法およびそれに続く造血幹細胞移植(HSCT)併用大量化学療法(HDCT)が必要となります。しかしながら、二次治療の救援化学免疫療法を受ける大半の患者は、疾患が高リスク(一次治療に難治性又は12ヵ月以内の再発)であり、長期的な治療ベネフィットを得ることが難しいとされています7。また、救援化学免疫療法およびそれに続くHSCT併用HDCTを行う見込みのない患者は、標準療法がなく、治療成績は不良です。そのため、一次治療に難治性または早期に再発したLBCL患者に対する新たな治療法への極めて高いアンメットメディカルニーズが存在しています。

 

ブレヤンジについて


ブレヤンジは、正常なB細胞の発生時に細胞表面に発現し、B細胞が悪性化した後も維持されるCD19を標的として設計され、4-1BB共刺激ドメインを有することでブレヤンジの増殖と持続性を高めたCAR T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変自家T細胞療法)です。ブレヤンジは「アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫」を対象疾患として厚生労働省より希少疾病用再生医療等製品に指定されており、2021年3月に前治療歴数が2つ以上の「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫」と「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象として再生医療等製品製造販売承認を取得しました。

また、米国では二次治療および前治療歴数が2つ以上の再発・難治性LBCLに対して、欧州連合、スイスおよびカナダでは前治療歴数が2つ以上の再発・難治性LBCLに対して承認されています。

ブリストル マイヤーズ スクイブのブレヤンジ臨床開発プログラムには、再発・難治性LBCLのより早期治療ラインでの臨床試験やその他の種類のリンパ腫および白血病の患者さんに対する臨床試験が含まれています。詳細については、clinicaltrials.govをご覧ください。

 

【製品概要】

販売名

ブレヤンジ®静注

一般名

リソカブタゲンマラルユーセル

製造販売承認事項一部変更承認日

2022年12月20日

効能又は効果

以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫

再発又は難治性の濾胞性リンパ腫

ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る

効能、効果又は性能に関連する使用上の注意

  • 濾胞性リンパ腫については、十分な経験を有する病理医により、Grade3Bと診断された患者に投与すること。
  • 臨床試験に組み入れられた患者の組織型、前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

製造販売元

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

 

参考文献

  1. がん情報サービス「がん種別統計情報 悪性リンパ腫」(2022年11月時点)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/25_ml.html
  2. Swerdlow SH, Campo E, Pileri SA, et al. The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms. Blood. 2016;127(20):2375-90.
  3. Muto R, Miyoshi H, Sato K, et al. Epidemiology and secular trends of malignant lymphoma in Japan: Analysis of 9426 cases according to the World Health Organization classification. Cancer Med. 2018;7(11):5843-58.
  4. Aoki R, Karube K, Sugita Y, et al. Distribution of malignant lymphoma in Japan: analysis of 2260 cases, 2001-2006. Pathol Int. 2008;58(3):174-82.
  5. Chihara D, Ito H, Matsuda T, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol. 2014;164(4):536-45.
  6. Feugier P, Van Hoof A, Sebban C, et al. Long-term results of the R-CHOP study in the treatment of elderly patients with diffuse large B-cell lymphoma: a study by the Groupe d’Etude des Lymphomes de l’Adulte. J Clin Oncol 2005;23(18):4117-26.
  7. Gisselbrecht C, Glass B, Mounier N, et al. Salvage regimens with autologous transplantation for relapsed large B-cell lymphoma in the rituximab era. J Clin Oncol. 2010;28(27):4184-90.

 

ブリストル マイヤーズ スクイブについて


ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルバイオファーマ企業です。詳細は、bms.com/jpLinkedInFacebookYouTubeをご覧ください。