プレスリリース
TYK2阻害剤「ソーティクツ®錠 6mg」の製造販売承認を取得
Company Info
2022/09/26
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
※本資料はプレスリリースであり、医薬品のプロモーションや宣伝広告を目的とするものではありません。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、経口投与可能なチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤である「ソーティクツ®錠6mg」(一般名:デュークラバシチニブ、以下、ソーティクツ)について、「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症」を適応として、本日、製造販売承認を取得しました。
ソーティクツは、TYK2に選択性をもってアロステリックに阻害するという新規作用機序を有する薬剤として、国内で初めて承認された乾癬治療薬です。検証的な国際共同第Ⅲ相臨床試験および海外第Ⅲ相臨床試験において、1日1回投与のソーティクツはプラセボと比較して優れた皮疹改善効果を示しました。また、ソーティクツの良好な安全性・忍容性プロファイルは、同試験および尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症患者を対象とした国内第Ⅲ相オープンラベル試験によって示されています。
乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、乾癬性関節炎、心血管疾患、肥満、糖尿病、うつ病など、患者の健康に影響を与える可能性のある複数の併存疾患に関連しています1,2,3。国内の患者数は約43万人と推計されており4、皮膚の一部に紅斑や鱗屑をきたす尋常性乾癬が全体の85.6%と最も多く、全身に膿疱が表れる膿疱性乾癬は2.3%、全身の皮膚が赤くなる乾癬性紅皮症は1.5%を占めています5。中等症から重症の尋常性乾癬や膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を完治できる薬剤は現状なく、複数の薬剤を使用しながら長期にわたって治療を継続していくことから、患者さんの病状やライフスタイルに合わせた多くの治療選択肢と、有効かつ許容可能な安全性・忍容性プロファイルを有する利便性に優れた治療薬に対する高いニーズがあります。
ソーティクツは、TYK2に選択性をもってアロステリックに阻害する、1日1回経口投与のTYK2阻害剤です。TYK2は細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素(キナーゼ)群のひとつであるヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子で、乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するインターロイキン(IL)-23、IL-12、I型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っています。ソーティクツはTYK2に対するアロステリック阻害作用により、これらのシグナル伝達経路を抑えます。また、ソーティクツは1日1回の経口投与で、用量の漸増・調節が不要です。
今回の承認にあたり、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社の執行役員 研究開発本部長の杉田真は、次のように述べています。「乾癬は皮膚の角化や紅斑を伴い、長期にわたる治療が必要なアンメットメディカルニーズの高い全身炎症性の自己免疫疾患です。現在、乾癬の治療には多くの選択肢がありますが、TYK2阻害という新たな作用機序を持つソーティクツが承認されたことで、既存治療で効果が不十分であった乾癬患者さんに新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います。自己免疫疾患を患う人々にとって、慢性的な症状と疾患の進行が与える身体的、情緒的、社会的な影響は大きく、日々の仕事や日常生活を困難にしています。弊社は、常に患者さんを中心に据え、免疫系疾患に対する研究開発に取り組んできました。こうした経験で培った免疫システムの深い理解によって、深刻な自己免疫疾患を患う患者さんに有意義なソリューションを提供できるよう、今後も邁進していきます。」
なお、米国では、2022年9月9日に、全身療法または光線療法の候補となる中等症から重症の成人尋常性乾癬患者の治療薬として承認を取得しており、欧州でも乾癬に対する承認申請を行い、現在審査中です。
「ソーティクツ」の臨床試験結果について
今回の承認は、中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(日本人含む)と海外第Ⅲ相臨床試験、中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者、膿疱性乾癬患者および乾癬性紅皮症患者を対象とした国内第Ⅲ相オープンラベル試験の結果に基づいています。
中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(IM011-046試験)と海外第Ⅲ相臨床試験(IM011-047試験)において、ともに主要評価項目とした投与16週のPASI 75達成率およびsPGA(0/1)達成率において、いずれもプラセボ群に比べてソーティクツ投与群で統計学的に有意に高い結果が示されました(表1)。また既承認の経口治療薬で広く用いられているオテズラ®(アプレミラスト)投与群との比較に対しても、副次評価項目とした投与16週のPASI 75達成率およびsPGA(0/1)達成率は、ソーティクツ投与群で統計学的に有意に高い値が示されました。さらにソーティクツの投与により、PASI 75達成率及びsPGA(0/1)達成率の改善は、投与開始から最初の24週間に最大効果が認められ、投与52週まで持続しました。尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症患者を対象とした国内第Ⅲ相オープンラベル試験においては、主要評価項目とした投与16週のPASI 75達成率およびsPGA(0/1)達成率はそれぞれ71.6%および75.7%でした。国際共同第Ⅲ相臨床試験と海外第Ⅲ相臨床試験の統合解析における投与16週までの重篤な有害事象の発現割合は1.8%(プラセボ群2.4%)で、現時点で最長2年までの長期投与により発現割合が上昇する傾向もみられませんでした。また、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症患者の安全性プロファイルも尋常性乾癬患者とおおむね一貫していました。
PASI: 病変部の皮膚の紅斑、肥厚、鱗屑の評価(それぞれ0から4までの重症度に分類)と全身に占める皮疹面積の割合により、乾癬の重症度を判定する指標。PASI 75は、PASIスコア75%改善を表す
sPGA: 医師による特定時点における皮疹の重症度の総合評価。sPGA0は病変消失、sPGA1は病変軽快を表す。
オテズラ®(アプレミラスト)は、アムジェン社の登録商標です。
表1. 主要評価項目である投与16週のPASI 75およびsPGA 0/1 a
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IM011-046試験 |
IM011-047試験 |
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ソーティクツ |
プラセボ |
ソーティクツ |
プラセボ |
PASI 75 |
58.4b(194/332) |
12.7(21/166) |
53.0b(271/511) |
9.4(24/255) |
sPGA 0/1 |
53.6b(178/332) |
7.2(12/166) |
49.5b(253/511) |
8.6(22/255) |
%(例数)
a: ノンレスポンダー補完法(NRI)
b: プラセボ群に対するp<0.0001(地域、生物製剤使用歴の有無、および体重を層別因子としたCochran-Mantel-Haensze1 検定)
<出典>
- World Health Organization. Global Report on psoriasis. WHO 2016.
- Nestle FO, Kaplan DH, Barker J. Mechanisms of Disease: Psoriasis. N Engl J Med 2009;361:496-509.
- Mehta NN, Afzar RS, Shin DB et al. Patients with severe psoriasis are at increased risk of cardiovascular
- mortality: cohort study using the General Practice Research Database. Eur Heart J 2010;31:1000-6.
- Kubota K, Kamijima Y, Sato T, et al. Epidemiology of psoriasis and palmoplantar pustulosis: a nationwide study using the Japanese national claims database, BMJ Open 2015;5
- Ito T, Takahashi H, Kawada A, et al. Epidemiological survey from 2009 to 2012 of psoriatic patients in Japanese Society for Psoriasis Research, J Dermatol 2018; 45: 293-301
【製品概要】
販売名 |
ソーティクツ®錠6mg |
一般名 |
デュークラバシチニブ |
製造販売承認日 |
2022年9月26日 |
効能又は効果 |
既存治療で効果不十分な下記疾患 |
用法及び用量 |
通常、成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与する。 |
製造販売元 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルバイオファーマ企業です。詳細は、bms.com/jp、LinkedIn、Facebook、YouTubeをご覧ください。