プレスリリース
「CyberOncology®」を活用し、胃癌の患者を対象に実施するオプジーボ®の臨床研究に関する業務委託契約をPRiME-R社と締結
がん領域
2022/02/03
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(本社:京都市、以下、PRiME-R社)と、がん日常診療におけるリアルワールドデータ*を標準化/構造化して管理・統合するPRiME-R社の入力支援システム「CyberOncology®」を活用し、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、化学療法との併用療法による胃癌の患者を対象とした企業主導型の大規模多機関共同臨床研究実施に関する業務委託契約を締結しましたので、お知らせします。
*:医療現場から得られる電子カルテデータ、薬剤情報、疾患登録データ等の医療情報
今回の臨床(観察)研究の目的は、CyberOncology®を活用して、実臨床において未治療の進行・再発胃癌の患者を対象にオプジーボと化学療法の併用療法の有効性、安全性および治療実態を国内約30施設の医療機関で調査することです。この観察研究に先進的なCyberOncology®を導入することで、医療機関の入力負担の軽減、臨床研究データの精度向上およびデータ集計・分析の迅速化を目指しています。なお、CyberOncology®を活用した企業主導型の大規模多機関共同臨床研究は今回が国内で初めてとなります。
愛知県がんセンター 副院長兼薬物療法部部長で、本研究のアドバイザーである室 圭先生は、次のように述べています。「オプジーボと化学療法の併用療法による胃癌一次治療は、新たな標準治療として現在多くの胃癌患者さんに実践されています。その承認の根拠となった第Ⅲ相試験は、均一のいわば限定的な集団のエビデンスです。今回の観察研究のリアルワールドデータから得られる安全性と有効性データは、実地臨床におけるヘテロな患者集団の情報であり、本併用療法の真の価値や実際の臨床現場における治療上の注意点などを教えてくれる貴重なデータ創出に寄与するものと期待しております。」
京都大学大学院、医学研究科、腫瘍薬物治療学講座の教授で、本研究のアドバイザーである武藤 学先生は、次のように述べています。「この度、わが国で2番目に罹患数が多い胃癌におけるがん免疫療法の実態をCyberOncology®技術で収集する取り組みが始まることを大変嬉しく思います。今回収集されるデータが、胃癌治療におけるがん免疫療法の安全性と有効性を実臨床に即した形で可視化できれば、より安全かつ効果的な癌治療の実施と新たな開発に繋がると期待しています。」
PRiME-R社が開発したCyberOncology®は、日常診療におけるリアルワールドデータを標準化/構造化して管理・統合するための入力支援システムです。臨床研究用データはこれまで、医療機関の電子カルテに蓄積されたデータから別途臨床研究専用の症例報告システムに手作業で入力し直す必要があり、二重の入力作業が発生していました。CyberOncology®を導入することで、医療機関における電子カルテへの入力負担が軽減されるとともに、臨床研究にも活用可能なデータの精度を高めることができます。また、臨床検査値や薬剤投与情報等の構造化データの一部は電子カルテから研究用データとして自動的に抽出でき、効率的なデータ利用が可能になります。加えて、CyberOncology®は複数種の電子カルテに対応しており、医療機関で採用する電子カルテが異なる場合も一元的にデータを抽出できます。必要なリアルワールドデータを短期間で集約可能になることから、今回の大規模多機関共同臨床研究の精度向上と迅速化が期待されています。
小野薬品とブリストル マイヤーズ スクイブは、今後も、多くのがん患者さんにより安全で有効性の高い治療選択肢の提供に向けて、先進技術を駆使した新薬の開発や臨床研究などに積極的に取り組んでいきます。
胃がんについて
胃がんは、日本では年間約13.8万人1)(世界全体で約108.9万人2))が新たに診断されています。胃がんによる死亡者数は、日本では年間約4.6万人1)(全世界で約76.8万人2))と推定されています。
1):Globocan 2020: Stomach Cancer, Japan, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf
2):Globocan 2020: Stomach Cancer, World, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf
なお、オプジーボの胃がんの適応症については、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」(3次治療)、および2021年11月に化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」(1次治療)の効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る承認を取得しています。
オプジーボについて
オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本では、小野薬品が2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の効能又は効果で承認を取得し、2014年9月に同適応症で発売しました。それ以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について
2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。