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プレスリリース

CAR T細胞療法「ブレヤンジ®静注」の製造販売承認を取得

がん領域

2021/03/22

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社の関連会社であるセルジーン株式会社は本日、CD19を標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)療法「ブレヤンジ®静注」(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル)について、「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫1」と「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫2」を対象とした再生医療等製品製造販売承認を取得しました。

今回の承認取得は、再発又は難治性のB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした海外第I相臨床試験および再発又は難治性のアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者を対象とした国際共同第II相臨床試験で得られた有効性および安全性の結果に基づいています(臨床試験結果を後段に記載)。

大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫はともに、非ホジキンリンパ腫に該当するB細胞リンパ腫です。大細胞型B細胞リンパ腫には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)をはじめとする複数の病型が含まれます。DLBCLは国内のB細胞非ホジキンリンパ腫の30~40%を占める最も発生頻度の高い病型3で、60歳代を中心に高齢者に多くみられます4。再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対する標準的な治療法は確立しておらず5、新たな治療法の開発が期待されています。濾胞性リンパ腫はB細胞非ホジキンリンパ腫全体の10~20%を占め、一般的に経過が緩徐で、かつ当初は化学療法感受性が良好ですが、特に進行期の患者は再発を繰り返すのが一般的です5。また、グレード3Bの濾胞性リンパ腫は通常アグレッシブ(中・高悪性度)リンパ腫として治療されますが、大細胞型B細胞リンパ腫と同様に再発又は難治性のグレード3B濾胞性リンパ腫においても確立した治療法はありません5

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社とセルジーン株式会社の代表取締役社長であるジャン=クリストフ・バルランは、次のように述べています。「日本において当社初のCAR T細胞療法となるブレヤンジの承認を取得できたことを大変嬉しく思います。ブレヤンジは再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、ならびに再発又は難治性の濾胞性リンパ腫の患者さんに新たな治療選択肢を提供します。加えて当社は、異なるアンメットメディカルニーズに応える新たなCAR T細胞療法の申請も予定しています。『心のこもったイノベーション』を掲げる業界のゲームチェンジャーとして、ブリストル マイヤーズ スクイブは深刻な病と闘う患者さんを助けるための取り組みを継続してまいります。」

 

ブレヤンジについて


ブレヤンジは、正常なB細胞の発生時に細胞表面に発現し、B細胞が悪性化した後も維持されるCD19を標的として設計された自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)療法です。ブレヤンジはCD19発現細胞に作用することを目的としており、CD8陽性細胞成分およびCD4陽性細胞成分の成分量のばらつきを抑えるため、あらかじめ定められた成分比で単回投与されます。ブレヤンジの製造は、米国ワシントン州ボセルにあるブリストル マイヤーズ スクイブの細胞免疫療法製造施設、ならびに国内の協力会社の施設で行う予定です。

 

ブレヤンジの臨床試験結果について


海外第I相試験における主たる有効性評価集団133例について、主要評価項目とされた全奏効割合6は74.4%(95%CI7:66.2,81.6)であり8、95%CI7の下限が事前に規定された閾値全奏効割合40%を上回りました。有効性解析対象集団256例における全奏効割合は72.7%(95%CI7:66.8,78.0)でした9。また、国際共同II相試験における全奏効割合6は、全体集団34例で58.8%(95%CI7:40.7, 75.4)であり、閾値40%に対して統計的に有意でした10。日本人集団10例では70.0%(95%CI7:34.8, 93.3)でした。なお、2020年6月19日データカットオフ時点における全体集団46例及び日本人集団10例の全奏効割合はそれぞれ63.0%(95%CI7:47.5,76.8)及び70.0%(95%CI7:34.8,93.3)でした。

海外第I相試験において、ブレヤンジが投与された269例中201例(74.7%)に副作用が認められました。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(42.0%)、疲労(17.8%)、好中球減少症(16.4%)、貧血(13.8%)、頭痛(13.4%)、血小板減少症(11.5%)、錯乱状態(11.5%)、振戦(11.2%)、低血圧(10.4%)等でした(承認時までの集計)。また国際共同第II相試験において、ブレヤンジが投与された46例(日本人患者10例を含む)中42例(91.3%)に副作用が認められました。主な副作用は好中球減少症(52.2%)、サイトカイン放出症候群(41.3%)、貧血(39.1%)、血小板減少症(39.1%)、発熱(39.1%)、白血球減少症(23.9%)、錯乱状態(15.2%)、疲労(13.0%)、発熱性好中球減少症(13.0%)等でした(承認時までの集計)。

 

海外での承認状況について


ブレヤンジは海外では、米国食品医薬品局(FDA)から、原発性中枢神経系リンパ腫を除く、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)非特定型(インドレントリンパ腫に起因するものを含む)、高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、およびグレード3B濾胞性リンパ腫を含む、2種類以上の全身療法による治療歴を有する再発又は難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の成人患者の治療薬として2021年2月5日に承認を取得しました。また、欧州連合において、再発又は難治性DLBCLを対象疾患としたPriority Medicines(PRIME)に指定されており、現在、欧州医薬品庁が販売承認申請(MAA)の審査を進めています。

  1. 大細胞型B細胞リンパ腫には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫が含まれる
  2. 十分な経験を有する病理医により、グレード3Bと診断された後に、2回以上の化学療法により完全奏効が得られなかった又は治療後に再発した患者に限る
  3. がん情報サービス「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」(2017年8月時点)(https://ganjoho.jp/public/cancer/DLBCL/index.html
  4. 新津望:日本内科学会雑誌 2008;02 97(7):1588-1594
  5. 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版
  6. Lugano効果判定基準(2014)に基づく、独立審査委員会による判定
  7. Clopper-Pearson法による両側95%正確CI
  8. 2019年4月12日データカットオフ
  9. 2019年8月12日データカットオフ
  10. 2019年9月13日データカットオフ

【製品概要】

販売名 ブレヤンジ®静注
一般名 リソカブタゲン マラルユーセル
製造販売承認日 2021年3月22日
効能、効果又は性能

以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫

再発又は難治性の濾胞性リンパ腫

 

ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がなく、自家造血幹細胞移植の適応がない患者又は自家造血幹細胞移植後に再発した患者で、以下のいずれかを満たす場合に限る。

  • 形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫以外の大細胞型B細胞リンパ腫および濾胞性リンパ腫の患者では、初発の患者では2回以上の化学療法歴、再発の患者では再発後に1回以上の化学療法歴があり、化学療法により完全奏効が得られなかった又は治療後に再発した
  • 濾胞性リンパ腫が形質転換した形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫の場合には、形質転換後の1回以上を含む、通算2回以上の化学療法歴があり、形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は化学療法後に再発した
  • 濾胞性リンパ腫以外の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫が形質転換した形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫の場合には、形質転換後に2回以上の化学療法歴があり、形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は化学療法後に再発した
用法および用量又は使用方法

<医療機関での白血球アフェレーシス~製造施設への輸送>

  1. 白血球アフェレーシス
    白血球アフェレーシスにより、非動員末梢血単核球を採取する。
  2. 白血球アフェレーシス産物の輸送
    採取した白血球アフェレーシス産物を、1~10℃に設定された保冷輸送箱に梱包して本品製造施設へ輸送する。

<医療機関での受入れ~投与>

  1. 本品の受領及び保存
    凍結した状態で本品を受領し、使用直前まで液体窒素気相下(−130℃以下)で凍結保存する。
  2. 投与前の前処置
    血液検査等により患者の状態を確認し、本品投与の2日前から7日前までに以下のリンパ球除去化学療法を行う。
    フルダラビンリン酸エステルとして30mg/㎡を1日1回3日間点滴静注及びシクロホスファミド(無水物換算)として300mg/㎡を1日1回3日間点滴静注する。なお、患者の状態(腎機能障害等)により適宜減量する。
  3. 本品の投与
    投与直前に本品を解凍する。通常、成人には、CAR発現生T細胞としてCD8陽性細胞(20×106~50×106個)およびCD4陽性細胞(20×106~50×106個)を、合計細胞数が体重を問わず100×106個を目標(範囲:44×106~100×106個)に、CD8陽性細胞及びCD4陽性細胞の細胞数の比が1(範囲:0.8~1.2)となるよう、CD8陽性細胞を静脈内投与した後にCD4陽性細胞を静脈内投与する。なお、本品の再投与はしないこと。
製造販売元 セルジーン株式会社

 

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して


ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

 

ブリストル マイヤーズ スクイブについて


ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細は、BMS.comLinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。