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プレスリリース

米国食品医薬品局が、オプジーボとヤーボイの併用療法を未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫に対する最初で唯一の免疫療法薬として承認

がん領域

2020/10/05

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2020年10月2日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、この適応症で15年ぶりにFDAの承認を受けた新たな全身療法となります1,2
  • 今回の承認は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、標準治療の化学療法と比較して良好な全生存期間の延長を示したCheckMate -743試験に基づいています1
  • 今回の承認で、オプジーボとヤーボイの併用療法は、胸部がんで3つ目、全体で7つ目の適応症の承認となります。

(ニュージャージー州プリンストン、2020年10月2日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)(360mgを3週間間隔で点滴静注)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)(1mg/kgを6週間間隔で点滴静注)の併用療法が、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の成人患者のファーストライン治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました1。今回の承認は、第Ⅲ相CheckMate -743試験であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づいています。中間解析において、オプジーボとヤーボイの併用療法(303例)は、プラチナ製剤を含む標準治療の化学療法(302例)と比較して、良好な全生存期間(OS)の延長を示し[ハザード比(HR)0.74; 95% 信頼区間(CI):0.61 - 0.89;P=0.002]、OSの中央値(mOS)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で18.1カ月(95% CI:16.8 - 21.5)、化学療法群で14.1カ月(95% CI:12.5 - 16.2)でした1。これらの結果は、最短で22.1カ月の追跡調査によるものです3。2年時点での生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で41%、化学療法群では27%でした1,3

米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの胸部腫瘍内科の教授兼セクションチーフおよび中皮腫プログラムの部長で治験担当医師であるAnne S. Taso(M.D.)は、次のように述べています。「悪性胸膜中皮腫は、治療選択肢の限られた希少がん腫です。進行ステージで診断された場合、5年生存率は約10%です2,4。CheckMate -743試験の生存に関する結果は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群が新しい最前線の標準治療の選択肢になる可能性を示しています。これはエキサイティングなニュースであり、この深刻な疾患を抱える患者さんおよび患者さんをケアする医療従事者の方々に希望をもたらすものです1,3。」

オプジーボおよびヤーボイの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、ドナーの幹細胞による幹細胞移植(同種)の合併症、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対照試験以外では推奨されません)の死亡率の増加1。ヤーボイの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:重篤かつ致死的な免疫介在性副作用、インフュージョン関連のリアクション、ヤーボイ投与後の同種造血幹細胞移植の合併症、胎児毒性、およびオプジーボとの併用に関連するリスク5。詳細は「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。

MPMは、胸部がんのファーストライン治療において、オプジーボとヤーボイの併用療法の3つ目の適応症です1。オプジーボとヤーボイの併用療法は、FDAにより、FDAが承認した検査により測定された腫瘍のPD-L1発現レベルが1%以上で、EGFRやALK遺伝子変異陰性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のファーストライン治療薬として承認されています1。また、オプジーボとヤーボイの併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらず、EGFRやALK遺伝子変異陰性の進行または再発性NSCLC成人患者のファーストライン治療薬として化学療法を限定して追加した併用療法でも承認されています1

ブリストル マイヤーズ スクイブの腫瘍、免疫疾患、心血管疾患担当、米国責任者兼ゼネラルマネジャーのAdam Lenkowskyは、次のように述べています。「胸部がんは複雑で治療が難しいがん腫であり、私たちは、患者さんの生存期間を延長する可能性のある免疫療法薬の治療選択肢の開発に注力しています2,6。数カ月前、オプジーボとヤーボイの併用療法は、非小細胞肺がんの特定の患者さんに対する2つのファーストライン治療薬として承認を取得しました。今回、オプジーボとヤーボイの併用療法は、未治療の切除不能なMPMという別の胸部がんの適応症で承認されています。今回の発表により、オプジーボとヤーボイの併用療法はこの適応症で15年ぶりに承認された新たな全身療法となり、これらの患者さんにより長く生きられる機会をもたらす可能性があります1。」

オプジーボとヤーボイの併用療法は、潜在的に相乗的な作用機序を特徴とし、がん細胞を攻撃するために二つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法です。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助けます1,7。ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応をもたらす可能性があります7,8,9,10,11,12。正常な細胞を標的とすることもあり、重篤かつ致死的な免疫介在性副作用が起こる可能性があります1。詳細は「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。

今回の承認は、FDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で審査され、新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)後6週間以内に了承されました。RTORプログラムは、一刻も早く安全かつ有効な治療を患者に届けることを目的としています13。この審査は、FDAのプロジェクトOrbisイニシアチブの一環としても実施され、オーストラリア、ブラジル、カナダ、スイスの保健当局による同時審査が可能です。

 

CheckMate -743試験について


CheckMate -743試験は、組織学的に確認された切除不能な悪性胸膜中皮腫で、全身療法の治療歴がない、または投与開始前14日以内に緩和的放射線療法の治療歴がない患者(605例)を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です1。間質性肺疾患、活動性自己免疫疾患、全身免疫抑制療法を要する疾患または活動性脳転移を有する患者は、本試験から除外されました1。本試験では、患者303例がオプジーボ3mg/kgを2週間間隔およびヤーボイ1mg/kgを6週間間隔で投与する群に、患者302例がシスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC 5とペメトレキセド500mg/m2の併用療法を3週間を1サイクルとして6サイクル投与する群に無作為に割り付けられました1。両群において、投与は病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。オプジーボとヤーボイの併用療法群の投与期間は、最長24カ月間でした1。本試験の主要評価項目は、全無作為化患者におけるOSでした1。その他の有効性評価項目は、Modified RECISTに基づきBICRが評価した無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)でした1

 

CheckMate -743試験における安全性プロファイルの抜粋


オプジーボとヤーボイの併用療法群の患者の23%が、副作用により投与が完全に中止され、患者の52%が少なくとも1回、投与が中断されました1。さらに4.7%の患者が、副作用によりヤーボイ単独での投与が完全に中止されました。重篤な副作用は、オプジーボとヤーボイの併用療法群患者の54%で発現しました1。オプジーボとヤーボイの併用療法群で多く(2%以上)報告された副作用は、肺炎、発熱、下痢、肺臓炎、胸水、呼吸困難、急性腎障害、注入に伴う反応、筋骨格痛、肺塞栓症でした1。致死的な副作用が患者4例(1.3%)で発現し、肺臓炎、急性心不全、敗血症、脳炎でした。最も一般的に(20%以上)報告された副作用は、疲労(43%)、筋骨格痛(38%)、発疹(34%)、下痢(32%)、呼吸困難(27%)、悪心(24%)、食欲減退(24%)、咳嗽(23%)およびそう痒症(21%)でした1。投与数の中央値は、オプジーボで12回、ヤーボイで4回でした3

 

悪性胸膜中皮腫について


中皮腫は、肺を覆う膜から発生することが多く、悪性度の高い希少がんです2,14。米国では、毎年約3,000例が新たに診断されています14。悪性胸膜中皮腫は、中皮腫の最も一般的な型です2。発症の主な原因はアスベストへの曝露です。早期発見が難しく、多くの患者が進行した状態で診断されます2,15。一般的に予後は不良であり、進行悪性胸膜中皮腫患者の生存期間の中央値は約1年で、5年生存率は約10%です2

 

オプジーボとヤーボイの併用療法の適応症および安全性情報について


米国でのオプジーボとヤーボイの併用療法の適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

 

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん研究の最前線


ブリストル マイヤーズ スクイブは、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治療を実現することを目標にがん研究を行っています。サイエンスにおける豊富な経験を生かし、最先端の技術と創薬プラットフォームを駆使して、患者さんのために革新的な治療法を開発し、提供しています。

当社は、血液疾患領域およびがん免疫領域における革新的な研究と実績を通じて、さまざまながん腫において生存期間の改善をもたらすとともに、さまざまな治療法を探索し、豊富かつ多様なパイプラインを構築しています。免疫細胞療法の分野においては、多数の疾患でCAR T細胞療法を導入し、細胞・遺伝子治療の標的の発見や技術の発展につながる早期パイプラインを拡大しています。また、多発性骨髄腫における承認済の療法、および早期・中期開発段階にある有望な化合物を生み出す基盤として、タンパク質ホメオスタシスなどの新たなプラットフォームを活用し、主要な生物学的経路を標的としたがん治療法の研究を進めています。当社は、さまざまな免疫経路を標的とした治療法の開発に取り組み、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の相互作用に着目することで、より多くの患者さんが奏功を示す治療を提供できるよう、更なる進化を目指しています。このような複数の治療アプローチを融合させることは、がん治療の新たな選択肢を提供し、免疫療法に対する耐性を克服するために重要です。当社は、革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。

 

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル マイヤーズ スクイブについて


ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。

セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

 

将来予測等に関する記述の注意事項


本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点、またこの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で継続的に承認されるかどうかは検証的試験における臨床的ベネフィットの実証および記述に左右される可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

 

参考文献


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