プレスリリース
抗悪性腫瘍剤 エムプリシティ®が再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する、ポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法で製造販売承認事項一部変更承認を取得
Empliciti
2019/11/22
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、抗悪性腫瘍剤エムプリシティ®点滴静注用300mg、同400mg(一般名:エロツズマブ(遺伝子組換え))について、再発又は難治性の多発性骨髄腫の適応で、ポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことをお知らせ致します。
今回の承認申請は、国際共同ランダム化第Ⅱ相臨床試験であるELOQUENT-3(CA204-125)試験のデータを根拠としています。
多発性骨髄腫は、近年、治療法が大きく進歩しているものの、未だ寛解は難しく、治療が奏功しても、次第に効果が減弱し、再発する可能性が高い疾患です。特に再発又は難治性多発性骨髄腫治療においては、レナリドミド及びプロテアソーム阻害剤両剤に不応となった患者に対して、ポマリドミドとデキサメタゾンの2剤併用療法(Pd)は一定の有効性を示すものの、再発に至る場合が多く、より効果的な治療薬が必要とされています。
エムプリシティは、ELOQUENT-3試験において、Pd群に対し、本剤をポマリドミドとデキサメタゾンに加えることにより(E-Pd群)、無増悪生存期間(PFS)では、ハザード比:0.54[95%信頼区間:0.34, 0.86, 層別log-rank検定p=0.0078(有意水準0.2)]と有意な延長を示しました。また、全生存期間(OS)の中間評価においては、ハザード比:0.54(95%信頼区間:0.30, 0.96)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、本剤の適正使用の推進に向けた医薬品情報提供活動を通じ、多発性骨髄腫の患者さんに貢献してまいります。
ELOQUENT-3(CA204-125)試験について
ELOQUENT-3試験は、2レジメン以上の前治療歴を有し、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害剤による治療に難治性、または治療後に再発した多発性骨髄腫の患者117例が組み入れられました。患者は、エムプリシティとポマリドミドおよびデキサメタゾンの3剤併用療法(E-Pd)群(60例)またはPd群(57例)に1:1の割合で無作為に割り付けられ、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、28日サイクルで投与を受けました。E-Pd群およびPd群の両群とも、ポマリドミド4mgを各サイクルの1~21日に投与し、デキサメタゾン40mg(75歳以下)または20mg(75歳超)を毎週投与しました。E-Pd群では、エムプリシティ10mg/kgを最初の2サイクルは毎週静脈内投与し、3サイクル目以降は20mg/kgを4週間間隔で投与しました。本試験の主要評価項目は、治験責任医師の評価による無増悪生存期間(PFS)でした。
申請時(2019年2月)に提出した最低9ヵ月の追跡調査の結果、主要評価項目であるPFSの中央値は、E-Pd群で10.25ヵ月、Pd群で4.67ヵ月でした。ハザード比は0.54(95%信頼区間:0.34, 0.86, P=0.0078)となり、E-Pd群でPd群と比較して有意なPFSの延長が認められました。副次的評価項目であるORRはE-Pd群で53.3%、PRd群で24.6%であり、Pd群と比較しE-Pd群でORRを改善しました(オッズ比4.62, 95%信頼区間:2.05, 10.43)。OSの中間評価の結果では,OSの中央値はE-Pd群で未到達(95%信頼区間:24.94, 推定不可),Pd群で17.41ヵ月(95%信頼区間:13.83, 推定不可)でした(ハザード比:0.54, 95%信頼区間:0.30, 0.96)。E-Pd群の安全性プロファイルについては、Pd群にエムプリシティを上乗せすることにより新たな安全性のリスクが加わることはなく、E-Pd群で発現したinfusion reactionはいずれも軽度で管理可能でした。
エムプリシティについて
エムプリシティは、細胞表面の糖タンパク質であるSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family member 7(SLAMF7)を特異的に標的とする免疫賦活抗体です。SLAMF7は、細胞遺伝学的異常に関係なく、骨髄腫細胞に発現しています。また、ナチュラルキラー細胞や形質細胞、造血系細胞における特定の免疫細胞サブセット上にも発現します。
エムプリシティは、二重の作用機序で働きます。すなわち、ナチュラルキラー細胞のSLAMF7に結合して活性化させ、同時に骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合し、タグとなることで、ナチュラルキラー細胞の抗体依存性細胞傷害活性により骨髄腫細胞死を誘導します。
エムプリシティは、米国では、2015年11月30日、FDAより、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、1から3種類の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者に対する治療薬として承認されたがん免疫療法の一つです。また、2018年11月6日、ポマリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、レナリドミドとプロテアソーム阻害剤を含む少なくとも2種類の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者に対する治療薬として承認されました。国内では、2016年9月28日に再発又は難治性の多発性骨髄腫の適応で、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、厚生労働省より製造販売承認されました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とアッヴィ社は、エムプリシティを共同で開発しており、商業的活動は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が単独で行っています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。