プレスリリース
オプジーボ®とヤーボイ®の併用療法、根治切除不能な悪性黒色腫に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得
2018/05/25
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ·バルラン、以下、BMSKK)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®点滴静注20mg、同100mg(一般名:ニボルマブ)」(以下、オプジーボ)およびヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®点滴静注液50mg(一般名:イピリムマブ)」(以下、ヤーボイ)について、根治切除不能な悪性黒色腫に対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせします。
今回の承認は、国内で初めてのがん免疫療法薬2剤の併用療法の承認となります。
悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも転移率が高く、きわめて悪性度が高いとされています。日本での悪性黒色腫の患者数は約4,000人*1、年間約700人*2が悪性黒色腫により死亡していると報告されています。
オプジーボおよびヤーボイは、国内においてすでにそれぞれの単剤投与について「根治切除不能な悪性黒色腫」を対象として承認を取得しています。今回の承認によって、オプジーボ1回1mg/kg(体重)とヤーボイ1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注、その後、オプジーボ1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する併用療法が可能となりました。
未治療の根治切除不能又は再発の悪性黒色腫の患者を対象に国内で実施した第Ⅱ相非盲検非対照試験(ONO-4538-17試験)において、オプジーボとヤーボイの併用療法で、有効性の主要評価項目である奏効率(ORR)(中央評価)は、33.3%(95%信頼区間:17.3 - 52.8)でした。また、未治療の進行期悪性黒色腫の患者を対象に海外で実施された第Ⅲ相無作為化二重盲検試験(Checkmate -067試験)において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、ヤーボイの単剤療法と比較して主要評価項目である全生存期間を有意に延長し、死亡リスクを45%低下させました(ハザード比0.55[98%信頼区間:0.42 - 0.72]、p<;0.0001[層別log-rank検定])。
これらの試験におけるオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、オプジーボ単剤療法及びヤーボイ単剤療法と比較して顕著な差は認められませんでした。
小野薬品およびBMSKKは、オプジーボおよびヤーボイがより適正に使用されるために一層のデータの蓄積が重要であると考えています。両剤の承認条件に従い、安全性および有効性に関するデータを収集して、両剤の適正使用に必要な措置を講じていきます。
*1: 平成23年 厚生労働省 患者調査(傷病基本分類別)、がんの統計’13
*2: 平成24年 厚生労働省 人口動態調査
オプジーボ®点滴静注20mg、100mgの概要
製品名 | オプジーボ®点滴静注20mg、100mg |
一般名(JAN) | ニボルマブ(遺伝子組換え) |
効能・効果 |
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用法・用量 | 1. 根治切除不能な悪性黒色腫 化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者の場合: 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。 化学療法既治療の根治切除不能な悪性黒色腫患者の場合: 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔又は1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。 2. 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。 |
製造販売 | 小野薬品工業株式会社 |
プロモーション提携 | ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
承認条件 | 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。 |
※今回の承認による改訂箇所は下線で表示
ヤーボイ®点滴静注液50mgの概要
製品名 | ヤーボイ®点滴静注液50mgの概要 |
一般名(JAN) | イピリムマブ(遺伝子組換え) |
効能・効果 | 根治切除不能な悪性黒色腫 |
用法・用量 | 化学療法未治療の場合: 通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。なお、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。 化学療法既治療の場合: 通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。 |
製造販売 | ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
プロモーション提携 | 小野薬品工業株式会社 |
承認条件 | 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。 |
注:今回の承認による改訂箇所は下線で表示
オプジーボについて
オプジーボは、PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。オプジーボは、日本では、小野薬品が2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する承認を取得しました。また、悪性胸膜中皮腫、悪性黒色腫の術後補助療法などについても承認申請しており、食道がん、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。
海外においては、現在、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)は、オプジーボの単剤療法または他のがん免疫治療薬などとの併用療法による350以上の臨床試験を遂行しています。BMSは、固形がんから血液悪性腫瘍まで約50種類のがん腫に対してオプジーボを研究しており、トランスレーショナル メディシンに対する能力を駆使し、患者さん一人一人に最大限のベネフィットをもたらすことを目標に取り組んでいます。
現在、オプジーボは、日本、韓国、台湾、米国および欧州連合を含む60ヵ国以上で承認されています。
ヤーボイについて
ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。国内においては、2015年7月に、根治切除不能な悪性黒色腫を適応とする製造販売承認を取得しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、60カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。
小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社の提携について
2011年、小野薬品とBMSが締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。