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プレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用療法が、中および高リスクの進行腎細胞がん患者のファーストライン治療薬として米国食品医薬品局の承認を取得

2018/04/18

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2018年4月16日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

  • オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法は、中および高リスクの進行腎細胞がん患者において、スニチニブと比較して有意に優れた全生存期間を示した初めてで唯一の治療薬であり、PD-L1発現レベルにかかわらず生存ベネフィットが示されました1,2
  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、スニチニブと比較して、より高い奏効率、完全奏効を示しました1,2
  • CheckMate -214試験では、進行腎細胞がんに最適化された用量が使用され、オプジーボとヤーボイの併用療法では、スニチニブと比較して、グレード3~4の副作用の発現数はより少数でした1,2

(ニュージャージー州プリンストン、2018年4月16日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)3mg/kgとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)1mg/kg(点滴静注)の併用療法が、米国食品医薬品局(FDA)により、未治療の中および高リスクの進行腎細胞がん(RCC)患者に対する、がん免疫療法薬の併用療法による治療薬として、初めて承認されたことを発表しました1,2

第Ⅲ相CheckMate -214試験において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、同患者集団において、現在の標準治療であるスニチニブと比較して、有意かつ優れた全生存期間(OS)の延長を示しました。PD-L1発現レベルにかかわらずOSのベネフィットが示されました1,2,3。オプジーボとヤーボイの併用療法では、持続的な奏効および、スニチニブと比較して、より高い奏効率(ORR)を示しました1,2。CheckMate -214試験において、患者はオプジーボと低用量のヤーボイの併用療法を4サイクルにわたり投与され、その後、オプジーボによる維持療法を受けました1,2。本試験の併用療法群では、患者の79%がオプジーボとヤーボイの併用療法の全4回の投与を完了し、オプジーボ単剤療法による治療段階へと進みました4。オプジーボによる維持療法では、用法・用量の柔軟な選択が可能でした(480mgを4週間間隔で投与または240mgを2週間間隔で投与)。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、米国コマーシャル部門責任者のJohanna Mercierは、次のように述べています。「当社の目標は、生存期間を延長する可能性がある治療薬をがん患者さんに提供することです。進行RCC患者さんのサブグループに対して、スニチニブと比較して全生存期間を延長する初めての治療選択肢となるオプジーボと低用量のヤーボイの併用療法は、この目標を達成する後押しとなります。今回の承認は、転帰を改善する可能性があるがん免疫療法薬をRCCのより広範な患者さんに届けるという当社のコミットメントを示すものです。」

オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、胎児毒性。免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告も含め、「重要な安全性情報」の項目をご参照ください1,2

未治療の中および高リスクの進行RCC患者を対象としたCheckMate -214試験の結果には、以下が含まれます。

  • 全生存期間:オプジーボとヤーボイの併用療法は、スニチニブと比較して、死亡リスクを37%低減しました(ハザード比0.63;99.8% 信頼区間: 0.44 - 0.89;p<0.0001)1,2。全生存期間(OS)の中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で未達(95%信頼区間:28.2 - 評価不能)、スニチニブ群では25.9カ月(95%信頼区間:22.1 - 評価不能)でした1,2,3
  • 奏効率:奏効率(ORR)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で41.6%(95%信頼区間:36.9 - 46.5;p<0.0001; 425例中177例)、スニチニブ群では26.5%(95%信頼区間:22.4 - 31.0;422例中112例)でした1,2
    • 完全奏効率および部分奏効率:完全奏効(CR)率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で9.4%(425例中40例)、スニチニブ群では1.2%(422例中5例)であり、部分奏効(PR)率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で32.2% (425例中137例)、スニチニブ群では25.4%(422例中107例)でした1,2
    • 奏効期間:奏効が得られた患者のうち、奏効期間の中央値(持続期間)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で未達(95% 信頼区間:21.8 - 評価不能)、スニチニブ群では18.2カ月でした(95%信頼区間:14.8 - 評価不能)1,2
  • 無増悪生存期間:無増悪生存期間(PFS)は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.6カ月、スニチニブ群で8.4カ月であり(ハザード比 0.82;99.1% 信頼区間:0.64 - 1.05; p = 非有意)、統計学的に有意な差は認められませんでした1,2

国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(International Metastatic Renal Cell Carcinoma Database Consortium)の基準によると、進行RCC患者のうち、75%~80%が1つ以上のリスク要因を有しており、中および高リスク患者であると考えられています5,6。これらの患者はこれまで予後不良であり、過去10年間で数々の治療の進展が見られたにもかかわらず、全生存期間を延長する新たな治療選択肢がいまだ必要とされています7,8。現在、進行RCC患者の1年生存率はわずか36%であり、5年生存率はわずか8%に過ぎません7,9

メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター、クリニカル・オンコロジーのJack and Dorothy Byrne Chairである腫瘍内科医Robert J. Motzer(M.D.)は、次のように述べています。「進行RCCの患者さんを治療する医師には、これまで生存期間の延長を可能にする治療選択肢がほとんどありませんでした。CheckMate -214試験のデータは、オプジーボとヤーボイの併用療法による優れた全生存期間を示しており、同併用療法が中および高リスクの進行RCC患者さんの新たな標準治療となる可能性を示しています。さらに、併用療法では、スニチニブと比較して、グレード3~4の副作用の発現数はより少数でした。これらの勇気付けられる結果によって、PD-L1発現レベルにかかわらず、新たに診断された進行RCC患者さんに新たな治療選択肢がもたらされたのです。」

CheckMate -214試験において、グレード3~4の有害事象の全発現数は、スニチニブ群と比較して、併用療法群で少なくなりました(併用療法群65% vs スニチニブ群76%)1,2。オプジーボとヤーボイの併用療法群の31%、スニチニブ群の21%の患者が、有害事象によって投与を中止しました。オプジーボとヤーボイの併用療法群の54%、スニチニブ群の43%の患者が、副作用によって投与を延期しました。スニチニブ群では、患者の53%において用量の減量を行いましたが、オプジーボとヤーボイの併用療法群において、減量は許容されていませんでした。重篤な副作用が、オプジーボとヤーボイの併用療法群の59%、スニチニブ群の43%で発現しました1,2

KCCureの理事長であるDena Battleは、次のように述べています。「腎臓がんは、泌尿器系がんの中で最も致死性の高いがん腫であり、大勢の患者さんがこの恐ろしい診断に直面しています。本日、オプジーボとヤーボイの併用療法が進行RCCに対して承認されたことにより、腎臓がんのファーストライン治療の環境に変革がもたらされる可能性があります。これは、患者さんにとって新たな治療選択肢以上のものであり、より長期の生存に向けた希望なのです。」

 

CheckMate -214試験に基づく承認:スニチニブと比較して優れた全生存期間および奏効率を示す


CheckMate -214試験は、未治療の進行RCC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法をスニチニブと比較評価した無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。中および高リスクの被験者集団のうち、患者425例は、オプジーボ3mg/kgとヤーボイ1mg/kgを3週間間隔で4回投与され、その後、オプジーボ3mg/kgを2週間間隔で投与されました。患者422例は、スニチニブ50mgを1日1回4週間にわたり投与され、その後2週間休薬してサイクルを継続しました1,2。オプジーボとヤーボイの併用療法の推奨用法・用量は、オプジーボ3mg/kgの後にヤーボイ1mg/kgを、3週間間隔で、それぞれ同じ日に30分以上かけて、4回点滴静注します。4回の併用投与後は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、オプジーボ240mgを2週間間隔または480mgを4週間間隔で30分以上かけて点滴静注します1,2

本試験の主要評価項目は、中および高リスク患者におけるOS、ORR(CR + PR)および独立放射線評価委員会(IRRC)の評価によるPFSでした。患者は、PD-L1の発現状況にかかわらず組み入れられました1,2。CheckMate -214試験のデータは、2017年9月の欧州臨床腫瘍学会年次総会および2017年11月のがん免疫学会年次総会にて発表されたほか、2018年3月、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌にも掲載されました3,10,11

 

CheckMate -214試験:安全性プロファイルの抜粋


オプジーボとヤーボイの併用療法群の2%以上で頻繁に報告された重篤な副作用は、下痢、発熱、肺炎、肺臓炎、下垂体炎、急性腎損傷、呼吸困難、副腎機能不全および大腸炎でした。オプジーボとヤーボイの併用療法群で多く(20%以上)報告された副作用は、疲労(58%)、発疹(39%)、下痢(38%)、筋骨格痛(37%)、そう痒症(33%)、悪心(30%)、咳嗽(28%)、発熱(25%)、関節痛(23%)、食欲減退(21%)、呼吸困難(20%)および嘔吐(20%)でした1,2

 

腎細胞がんについて


腎細胞がん(RCC)は成人の腎臓がんの中で最も一般的な型であり、毎年、米国で15,000人以上の方が亡くなっています12,13。淡明細胞型腎明細胞がんはRCCの中で最も多い型であり、全RCCの70-80%を占めています14。RCCは、男性が女性の約2倍発症します15。米国において、転移性または進行期の腎臓がんと診断された患者の5年生存率は8%です7

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん免疫の科学とオンコロジー研究の最前線


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、がん治療の未来に関し、治療困難ながん患者さんの予後を改善する革新的ながん免疫療法(I-O)薬の研究開発に焦点を置いたビジョンを持っています。

当社は、がん免疫の科学を進展させており、研究中の化合物および承認済みの医薬品からなる広範囲に及ぶポートフォリオを有しています。臨床開発プログラムにおいては、50以上のがん腫にわたる幅広い患者集団を対象に、様々な免疫系経路を標的とする24種類の分子について臨床研究を進めています。当社は、深い専門知識と革新的な臨床試験デザインにより、複数のがん腫において、I-O/I-O、I-O/化学療法、I-O/分子標的薬およびI-O/放射線療法といった併用療法を進歩させ、治療法の次なる波を一日も早く実現すべく取り組んでいます。また、業界をリードするトランスレーショナルなケイパビリティを通じて、免疫生物学研究の最前線に立ち、PD-L1、TMB、MSI-H/dMMRおよびLAG-3を含め、効果予測に役立つ可能性のある数々のバイオマーカーを特定し、より多くのがん患者さんへのプレシジョン・メディシン(精密医療)の可能性を推進しています。

がん免疫療法による治療をより多くの患者さんに提供するためには、社内のイノベーションだけでなく、この領域を率いる専門家との密接な協働が不可欠です。当社は、臨床現場での標準治療を上回る新たな治療選択肢を臨床現場に提供することを共通の目標として、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。

 

オプジーボの適応症および安全性情報について


米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、こちらから原文リリースをご参照ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeおよびFacebookをご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2017年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。

 

脚注


1. Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last updated: April 2018. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.

2. Yervoy Prescribing Information. Yervoy U.S. Product Information. Last updated: April 2018. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.

3. Motzer R, Tannir N, McDermott D, et al. Nivolumab plus Ipilimumab versus Sunitinib in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med. 2018;378(14):1277-1290.

4. Data on file. NIVO 136. Princeton, NJ; Bristol-Myers Squibb.

5. Ko JJ, Xie W, Kroeger N, et al. The International Metastatic Renal Cell Carcinoma Database Consortium model as a prognostic tool in patients with metastatic renal cell carcinoma previously treated with first-line targeted therapy: a population-based study. Lancet Oncol. 2015;16(3):293-300.

6. Heng DYC, Xie W, Regan M, et al. External validation and comparison with other models of the International Metastatic Renal-Cell Carcinoma Database Consortium prognostic model: a population-based study. Lancet Oncol. 2013;14(2):141-148.

7. American Cancer Society. Survival Rates for Kidney Cancer by Stage. https://www.cancer.org/cancer/kidney-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Accessed March 27, 2018.

8. Sun M, Thuret R, Abdollah F, et al. Age-adjusted incidence, mortality, and survival rates of stage specific renal cell carcinoma in North America: a trend analysis. Eur Urol. 2011;59(1):135-141.

9. Surveillance, Epidemiology, and End Results Program. Kidney and Renal Pelvis Cancer SEER Survival Rates by Time Since Diagnosis, 2003-2013 By Stage at Diagnosis. National Cancer Institute. https://seer.cancer.gov/explorer/application.php?site=72&data_type=4&graph_type=6&compareBy=stage&chk_sex_1=1&chk_sex_3=3&chk_sex_2=2&chk_race_1=1&chk_age_range_1=1&chk_stage_101=101&chk_stage_106=106&advopt_precision=1&showDataFor=sex_1_and_race_1_and_age_range_1. Published April 14, 2016. Updated December 1, 2018. Accessed March 27, 2018.

10. Escudier B, Tannir N, McDermott D, et al. CheckMate 214: efficacy and safety of nivolumab plus ipilimumab vs sunitinib for treatment-naïve advanced or metastatic renal cell carcinoma, including IMDC risk and PD-L1 expression subgroups. Presentation at: European Society of Medical Oncology Annual Meeting; September, 2017; Madrid, Spain.

11. Motzer R, Tannir N, McDermott D, et al. Nivolumab + ipilimumab (N+I) vs sunitinib (S) for treatment‐naïve advanced or metastatic renal cell carcinoma (aRCC): results from CheckMate 214, including overall survival by subgroups. Presentation: Society for Immunotherapy of Cancer Annual Meeting; November, 2017; National Harbor, Maryland.

12. American Cancer Society. Key Statistics About Kidney Cancer. https://www.cancer.org/cancer/kidney-cancer/about/key-statistics.html. Accessed January 12, 2018.

13. Cancer.net. Kidney Cancer: Introduction. https://www.cancer.net/cancer-types/kidney-cancer/introduction. Published August 2017. Accessed March 27, 2018.

14. Mehdi A, Riazalhosseini Y. Epigenome aberrations: Emerging Driving Factors of the Clear Cell Renal Cell Carcinoma. Int J Mol Sci. 2017 Aug 16;18(8)1774.

15. Terris M, Klaassen Z, Kabaria R. Renal Cell Carcinoma: Links and Risks. Int J Nephrol Renovasc Dis. 2016;9:45-52.