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プレスリリース

New England Journal of Medicine誌に掲載された新たな第III相臨床試験であるELOQUENT-2試験のデータによると、開発段階にあるエロツズマブを多発性骨髄腫の標準治療に追加することで病勢進行リスクが大幅に低下

2015/06/09

※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2015年6月2日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

  • 病勢進行または死亡リスクが30%低下;2年時点での無増悪生存率はエロツズマブ群41%に対し、対照群では27%でした。
  • 安全性プロファイルでは、エロツズマブをレナリドミドとデキサメタゾンに追加することによる有害事象増加はごく僅かでした。
  • 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者の免疫系を直接的に活性化させるエロツズマブの新たな作用機序が裏付けられました。
  • エロツズマブとボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法を評価した第II相臨床試験でも、同様に病勢進行または死亡リスクが28%低下。両試験の結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2015年度年次総会で発表されました。

(ニュージャージー州プリンストン、2015年6月2日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)とアッヴィ(NYSE:ABBV)は、本日、非盲検無作為化第III相臨床試験であるELOQUENT-2試験の中間解析結果がNew England Journal of Medicine誌の6月2日付オンライン版に掲載されたことを発表しました。本試験(症例数=646名)では、再発又は難治性の多発性骨髄腫治療において、研究段階にある免疫賦活性抗体であるエロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの三剤併用(ELd)と、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用(Ld)を比較しました。試験の主要評価項目である、無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)において優越性が示され、本試験の目的は達成されました。

ELd群では、病勢進行または死亡リスクが、Ld群に比べて30%低下しました(ハザード比0.70、95% 信頼区間:0.57, 0.85、p = 0.0004)。1年PFS率は、ELd群68%に対してLd群では57%であり、2年PFS率は、ELd群41%に対してLd群では27%でした。ELd群では、Ld群に比べて有意なORRの改善が認められました[ ELd群79%(95%信頼区間:74%, 83%)に対し、Ld群66%(95%信頼区間:60%, 71%)、(オッズ比1.9(95%信頼区間:1.4, 2.8)、p = 0.0002)。安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験結果と一致しており、エロツズマブをレナリドミドとデキサメタゾンに追加しても、有害事象(AE)の増加はごく僅かにとどまりました。

エモリー大学医学部ウインシップがん研究所のチーフ・メディカル・オフィサーであり、論文の筆頭著者を務めたSagar Lonial医学博士は次のように述べています。「治療法が進歩したにも関わらず、多発性骨髄腫は依然としてほぼ完治が望めない病です。今回のELOQUENT-2のデータは、エロツズマブを標準治療に加えることで病勢進行リスクの著しい低下が認められ、効果が持続されており、多発性骨髄腫における免疫によるアプローチの有益性を示したという点で画期的なデータです」。

ELOQUENT-2の結果は、シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会において、6月2日(火)の午前9時45分~9時57分(米中央部夏時間)の口頭抄録セッションで発表される予定です(抄録番号 #8508)。

5月31日(日)に開催されたASCOのポスターセッションでは、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対して、エロツズマブとボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの三剤併用(EBd)(症例数=77名)と、ボルテゾミブとデキサメタゾンのみの二剤併用(Bd)(症例数=75名)を比較した第II相臨床試験の結果も発表されました(抄録番号 #8573)。この第II相臨床試験の結果は、ELOQUENT-2のデータと一貫性があり、EBd群では、病勢進行または死亡リスクが、Bd群に比べて28%減少しました(ハザード比0.72、70% 信頼区間:0.59, 0.88)。1年PFS率はEBd群の39%(95%信頼区間:28%, 50%)に対し、Bd群では33% (95%信頼区間:22%, 44%)でした。1年生存率はEBd群の85%(95%信頼区間:75%, 92%)に対し、Bd群では74% (95%信頼区間:62%, 83%)でした。グレード3または4の有害事象は、EBd群の68%の患者さん、そしてBd群の60%の患者さんで報告され、その中には、感染症(EBd群19%に対してBd群15%)、血小板減少症(EBd群9%に対してBd群17%)、末梢神経障害(EBd群8%に対してBd群9%)が含まれていました。

腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者であるマイケル・ジョルダーノは次のように述べています。「エロツズマブと、免疫調整薬またはプロテアソーム阻害薬との併用を評価したこれらの試験は、この免疫賦活性抗体であるエロツズマブが多発性骨髄腫治療の新しい基準となる可能性があることを示しています。多発性骨髄腫のような血液がんに免疫療法の役割を広げていくというコミットメントを実現するために、当社は引き続き大きく前進してまいります。生存率などの長期的な転帰を改善することは、患者さんにとって非常に重要ですので、当社はELOQUENT-2試験のフォローアップを続けていきます」。

 

ELOQUENT-2試験について


 

ELOQUENT-2(CA204-004)試験は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対して、エロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの三剤併用と、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用とを比較する多施設共同非盲検第III相臨床試験です。この試験には、レナリドミドに対して抵抗性を示しておらず、1種類から3種類の前治療を受けた646名の患者さんが組み入れられました。患者さんは、エロツズマブ 10 mg/kg とレナリドミドおよびデキサメタゾンを三剤併用する群(ELd)か、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用群(Ld)のいずれかに、1:1の割合で無作為割り付けされ、病勢進行もしくは耐用不能な毒性が生じるまで28日サイクルで投与されました。主要評価項目は、ハザード比で定義されるPFSとORRでした。今回の中間解析における追跡期間の中央値は24.5カ月で、ELd患者の35%(113名)とLd患者の21%(66名)が治療を継続しています。主な副次的評価項目は、全生存期間、日常生活での疼痛の重篤度/干渉などでした。探索的評価目的は、抗腫瘍効果、奏功期間、健康関連のQOL、安全性などでした。

病勢進行リスクの30%低下が2年間持続しただけでなく、ELd群のPFS中央値は、Ld群の14.9カ月(95% 信頼区間:12.1から17.2)に対して、19.4カ月(95% 信頼区間: 16.6から22.2)でした。観察されたPFSの有益性は、あらかじめ計画された全てのサブグループ解析の結果と一貫していました。ELd群の患者さんは、Ld群の患者さんと比較して、レナリドミドを含む治療に30%(もしくは中央値で約5カ月)長く曝露されました。試験の中止は、主として病勢進行によるものでした(ELd群で42%、Ld群で47%)。有害事象による中止の比率は、両群間で差はありませんでした。ELd群とLd群におけるグレード3または4の血液学的有害事象の比率は、リンパ球数減少(ELd群77%に対してLd群49%)、好中球数減少(ELd群34%に対してLd群44%)、貧血(ELd群19%に対してLd群21%)、血小板減少(ELd群19%に対してLd群20%)でした。また、曝露期間で調整した後の感染の割合は両群とも同じでした。Infusion reactionはELd群の患者さんの10%で発生しましたが、その大半はグレード1または2であり、管理可能でした。また、infusion reactionにより中止となったのは、患者さんの僅か1%でした。各群で同程度の比率(2%)で患者さんが有害事象により死亡しました。今回の解析時点の死亡総数は210名で、うち94名(30%)がELd群、116名(37%)がLd群でした。これは、最終解析時点で予想されている427名の死亡数の49%に相当します。全生存期間を含む長期的転帰のフォローアップが現在進められています。

 

エロツズマブについて


 

エロツズマブはsignaling lymphocyte activation molecule family 7(SLAMF7)を標的とする開発段階にある免疫賦活抗体です。SLAMF7は骨髄細胞やナチュラルキラー(NK)細胞の表面に多くかつ均一に発現している糖タンパク質であり、正常組織や造血幹細胞では検出されません。エロツズマブは、骨髄腫細胞を選択的に標的とするかを見極めるべく臨床試験が実施されています。エロツズマブは、二重の作用機序で働くとされています。すなわち、NK細胞上のSLAMF7と結合してNK細胞を直接的に活性化させ、また、骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合し、NK細胞による骨髄腫細胞の認識と破壊のために合図を送ります。

2014年5月、米国食品医薬品局(FDA)はエロツズマブを、1つ以上の前治療を受けた患者さんに対する多発性骨髄腫の治療に使われる化学療法薬の一つ(レナリドミドとデキサメタゾンの併用)との併用で、ブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定しました。エロツズマブは、開発段階にある化合物で、安全性と有効性に関して、FDAを始めとした各保健当局による評価はまだ受けていません。

ブリストル・マイヤーズ スクイブとアッヴィはエロツズマブを共同で開発しており、商業的活動はブリストル・マイヤーズ スクイブが単独で行っています。

 

多発性骨髄腫について


 

多発性骨髄腫は、血液のがんであり、骨髄の軟質中心部にある形質細胞ががん化して無制限に増殖する病気です。多発性骨髄腫の治療法はこの10年で進歩を遂げましたが、5年生存率は45%に過ぎません。多くの患者さんに共通する特徴は、寛解と再発の繰り返しです。一時的に治療を中止しても、結局はすぐに治療を再開することになります。再発すると、5年後も生存している患者さんは20%以下となります。推計によると、世界で年間114,200例が新たに診断されており、世界で年間79,000名以上が死亡しています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫領域への取り組みについて


 

過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤によるがん免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな経路を標的としたがん免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。 
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、がん免疫学の発展に尽力しています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。

 

アッヴィについて


 

アッヴィは、アボットラボラトリーズからの分社を経て2013年に設立された、研究開発型のグローバルなバイオ医薬品企業です。専門知識や献身的な社員・イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、世界で最も複雑かつ深刻な疾患領域における先進的な治療薬を開発・提供することをミッションに掲げています。アッヴィは、100%子会社のファーマサイクリックス社を含めて世界で28,000人以上を雇用し、170カ国以上で医薬品を販売しています。当社の概要や人材・製品群・コミットメントに関する詳細はwww.abbvie.com をご覧ください。よろしければTwitterアカウント@AbbVieもフォローください。また、人材情報はFacebookやLinkedInページをご参照ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


 

本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、エロツズマブが承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2014年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。

 

アッヴィ 今後の見通しに関する記述


 

本リリースにおける記載には、1995年米国私募証券訴訟改革法に示される「今後の見通しに関する記述」が含まれています。今後の見通しに関する記述は、通常、「見込み」、「期待」、「予想」、「予測」、および同様の表現によって識別されます。これらの今後の見通しに関する記述は、予測内容と大いに異なる結果が生じる可能性があるリスクや不確実性の影響を受けます。そのようなリスクと不確実性には、知的財産の問題、他の製品との競合、研究開発プロセスに必然的に伴う困難、不利な訴訟または政府措置、医薬品業界に適用される法律および規制の変更が含まれます。

アッヴィの経営に影響を及ぼす可能性のある経済、競合状況、政府や科学技術その他の要因は、10-K書式によって米国証券取引委員会に提出済みのアッヴィの2014年度アニュアルレポートの1A項「リスク要因」の項目に記載しています。

アッヴィは、法律で要求される場合を除き、本リリースの発表後に出来事や変化が生じた場合も今後の見通しに関する記述を更新する義務を負いません。