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プレスリリース

PD-1免疫チェックポイント阻害薬として初めて第3相臨床試験での全生存期間の改善を示した未治療の進行期悪性黒色腫患者に対してオプジーボ(ニボルマブ)と化学療法を比較する試験結果について

2014/11/19

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2014年11月16日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

  • オプジーボはダカルバジンに対して、全生存期間の改善および1年生存率の改善(オプジーボ73%に対してダカルバジン42%)、そして死亡リスクの58%低減(ハザード比0.42、P<0.0001)を示しました。
  • オプジーボはダカルバジンに対して、高い完全奏効率(オプジーボ7.6%に対してダカルバジン1.0%)を含む、著しく高い奏効率(オプジーボ40%に対してダカルバジン14%)を示しました。
  • 治療に関連したグレード3または4の有害事象はオプジーボの方が少ない結果(オプジーボ11.7%、ダカルバジン17.9%)となり、安全性および忍容性が明確となりました。

(ニュージャージー州プリンストン、2014年11月16日)‐ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE: BMY)は本日、未治療のBRAF野生型の進行期悪性黒色腫患者418名に対して、PD-1免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(ニボルマブ)と化学療法であるダカルバジン(DTIC)を比較する第3相無作為化二重盲検試験であるCheckmate -066試験の結果を発表しました。オプジーボ投与群では全生存期間中央値は未達、DTIC投与群では10.8カ月となり、試験の主要評価項目である全生存期間の改善を達成しました。1年生存率はオプジーボ群が73%に対してDTIC群は42%となり、オプジーボ群における死亡リスクは58%低減されました(ハザード比0.42、P<0.0001)。オプジーボ投与群では、この生存率の改善はPD-L1陽性/陰性にかかわらず見られました。Checkmate -066試験の結果は本日、The New England Journal of Medicine誌に掲載され、またスイスのチューリッヒで開催されたSociety for Melanoma Research 2014 International Congressで口頭発表されました。

ギュスターヴ・ルシー研究所の皮膚科教授、皮膚科ユニット長であり、The New England Journal of Medicine誌の筆頭著者のキャロライン・ロバートは次のように述べています。「Checkmate -066試験の結果は、無作為化された第3相臨床試験において、PD-1免疫チェックポイント阻害薬が初めて生存率の改善を示したという点で重要な意味を持っています。これは未治療のBRAF野生型進行期悪性黒色腫患者の治療の研究における大きな節目となります」。

オプジーボ群、DTIC群全ての患者での安全性に関しても報告されました。投与中止はDTIC群の11.7%と比較してオプジーボ群は6.8%と少なく、治療に関連するグレード3または4の有害事象も同様(オプジーボ群11.7%に対してDTIC群17.6%)で、推奨される対処法アルゴリズムを用いて管理されました。オプジーボ群で最も多く認められた治療に関連する有害事象として「疲労(20%)」、「かゆみ(17%)」、「吐き気(16.5%)」がありました。DTIC群で多く認められた有害事象は以前の報告と同様に、「吐き気(41.5%)」、「嘔吐(21%)」、「疲労(15%)」、「下痢(15%)」、そして血液関連毒性が含まれています。双方の群において薬剤の毒性に関連する死亡例はありませんでした。

Melanoma Institute Australia、シドニー大学およびMater Hospitalのジョージナ・V・ロング医学博士は、「この臨床試験でニボルマブを投与された未治療の進行期悪性黒色腫患者さんには、DTIC投与群と比較して、全生存期間および奏効率の双方で臨床的に重要な改善が認められました。この臨床試験は進行期悪性黒色腫におけるPD-L1の発現の役割に関する仮説を確認するものでもあります。Checkmate -066試験においては、PD-L1陽性/陰性双方で、ニボルマブを投与された患者さんは、DTIC群と比較して明らかな生存期間の改善が認められました」と述べています。

腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者のマイケル・ジョルダーノは「このオプジーボの第3相臨床試験の結果は、2011年のYervoyの発売へとつながった先駆的科学に基づいており、長期生存の可能性をより多くの患者さんに提供するという私たちの戦略的コミットメントを後押しするものです。私たちは、単剤または併用療法により、悪性黒色腫から他の多くのがん腫へと続く腫瘍免疫のポートフォリオをさらに充実させていきます」と述べています。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、保健当局の承認を取得した場合のニボルマブの商標として、Opdivoの名称を申請しています。

 

Checkmate -066試験のデザインについて


Checkmate -066試験は、未治療のBRAF野生型の切除不能なIIIおよびIV期の悪性黒色腫患者を対象とした第3相無作為化二重盲検試験です。臨床試験においては418名の患者さんが登録され、2週間に1回、オプジーボを3mg/kg投与される群( 210名)と、3週間に1回、DTICを1000mg/m2投与される群( 208名)のどちらかに、無作為に割り付けられました。治療は病状の進行もしくは許容できないレベルの毒性が確認されるまで続けられました。DTIC群の38%が臨床試験の治療中止後にYervoy(一般名:ipilimumab)の投与を受けました。全ての無作為化された患者さんは、データが固定されるまでの最大16.7カ月にわたって観察されました。主要評価項目は全生存期間でした。副次的評価項目には、無増悪生存期間(PFS)やRECIST1.1に基づく奏効率(ORR)、そして全生存期間の効果予測バイオマーカーとしてのPD-L1発現がありました。PD-L1陽性は最低5%の腫瘍細胞が細胞表面のPD-L1染色を示した場合と定義されました。臨床試験は医薬品委員会(CHMP)と協議してデザインされ、主にDTICが広く一次治療として採用されている、カナダ、欧州、オーストラリアなどの国で実施され、米国の臨床施設では実施されませんでした。2014年6月24日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、独立データモニタリング委員会の分析により、オプジーボ群が対照群となるDTIC群に対して全生存期間の改善を示したことから、Checkmate -066試験が早期に中止されたことを発表しました。結果として、臨床試験に参加された患者さんは盲検が解除され、オプジーボを投与されることを許可されましたが、本日発表した試験結果は盲検が解除される前の二重盲検のものです。

 

Checkmate -066試験の結果詳細について


オプジーボ群では全生存期間中央値は未達、DTIC群では10.8カ月(95%信頼区間9.3-12.1)でした。1年生存率はオプジーボ群が73%(95%信頼区間66-79)に対してDTIC群は42%(95%信頼区間33-51)でした。オプジーボ群における死亡リスクは58%低減されました(ハザード比0.42、99.79%信頼区間0.25-0.73、 P<0.0001)。無増悪生存期間(PFS)の中央値はそれぞれ5.1カ月と2.2カ月でした(ハザード比0.43、95%信頼区間0.34-0.56、P<0.0001)。
奏効率(ORR)はオプジーボ群がDTIC群と比較して著しく高い結果(オプジーボ群40%に対してDTIC群14%、P<0.0001)でした。完全奏効はオプジーボ群の7.6%、DTIC群の1.0%で認められました。奏効期間の中央値はオプジーボ群では未達、DTIC群は6カ月(95%信頼区間3.0-評価不能)でした。オプジーボ群の86%が奏効継続中であるのに対して、DTIC群では51%でした。
PD-L1陽性および陰性/不確定のサブ・グループいずれにおいても、オプジーボ群はDTIC群に対して全生存期間の改善を示しました(非階層化ハザード比0.30、PD-L1陽性患者における95%信頼区間0.15-0.60、PD-L1陰性/不確定患者における95%信頼区間0.32-0.71)。オプジーボ群のPD-L1サブグループの双方において全生存期間の中央値は未達でした。DTIC群における全生存期間の中央値は、PD-L1陽性サブグループの方がわずかに長い結果(12カ月に対して10カ月)となりました。
オプジーボ群、DTIC群双方の安全性について報告されました。治療に関連する有害事象の発生率はオプジーボ群とDTIC群では同等(オプジーボ群74.3%に対してDTIC群75.6%)でした。しかしながら、治療中止はDTIC群の11.7%と比較してオプジーボ群は6.8%と少なく、グレード3または4の有害事象も同様で(オプジーボ群11.7%に対してDTIC群17.6%)、推奨される対処法アルゴリズムを用いて管理されました。グレード3または4の重篤な有害事象の発生率はオプジーボ群とDTIC群では同等(5.8%に対して5.9%)でした。オプジーボ群で最も多く認められた治療に関連する有害事象として「疲労(20%)」、「かゆみ(17%)」、「吐き気(16.5%)」がありました。DTIC群において多く認められた有害事象は以前の報告と同様に、「吐き気(41.5%)」、「嘔吐(21%)」、「疲労(15%)」、「下痢(15%)」、そして血液関連毒性が含まれます。双方の群において薬剤の毒性に関連する死亡はありませんでした。

 

オプジーボについて


がん細胞は、チェックポイント経路などの「制御」経路を悪用して免疫系から身を隠し、腫瘍が免疫系から攻撃されないようにします。オプジーボは、活性T 細胞に発現するチェックポイント受容体PD-1(programmed death-1)に結合するヒト型PD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の 7,000 人以上の登録患者さんを対象とし、オプジーボを複数のがん腫において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する35 以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。これらの臨床試験には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)、頭頸部がん、神経膠芽細胞腫、および非ホジキンリンパ腫に関する承認申請資料として利用される可能性がある複数の臨床試験があります。
2012年には、NSCLC、悪性黒色腫、RCCにおいて、米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック(優先承認審査)の指定を受けました。2014 年4 月、ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、3 次治療の肺扁平上皮がん(NSCLC)に関し、段階的申請を開始しました。申請は、年末までに完了する見込みです。2014 年5 月には、自家幹細胞移植やブレンツキシマブベドチン治療が不応となったホジキンリンパ腫において、FDA よりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。小野薬品工業は、7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でオプジーボの製造販売承認を取得したこと、そして9月2日に新発売したことを発表しました。これにより、オプジーボは、世界で初めて規制当局の承認を取得し、発売されたPD-1 免疫チェックポイント阻害薬となりました。9 月26 日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、FDA が同薬の生物学的製剤承認申請(BLA)を、治療歴を有する進行期悪性黒色腫に関して優先審査の対象として受理したことを発表しました。処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく目標期日は、2015 年3 月30 日です。また、同適応に関し、FDA よりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。欧州連合(EU)においては、欧州医薬品庁(EMA)が進行期悪性黒色腫におけるオプジーボの販売承認申請(MMA)を受理しました。この申請については、すでにEMA の医薬品委員会(CHMP)による迅速評価の対象に指定されています。また、欧州医薬品庁(EMA)は、NSCLCに関しても販売承認申請(MAA)を受理しました。

 

進行期悪性黒色腫について


悪性黒色腫は、皮膚にある色素産生細胞(メラノサイト)の無秩序な増殖を特徴とする皮膚がんの一形態です。転移性悪性黒色腫は、この病気の中でも最も致死性が高く、皮膚表面だけでなく、他の臓器(リンパ節、肺、脳、その他の部分)にもがんが転移した状態です。悪性黒色腫の発症率は、少なくとも過去30年間にわたり上昇しています。2012年には、全世界で推定232,130人※が悪性黒色腫と診断されました。悪性黒色腫は、早期の段階に治療すれば大部分が治癒可能です。しかし、末期の段階になると、過去の平均生存期間はわずか6カ月間、1年死亡率は75%であり、最も悪性度の高いがんの1つとなっています。

※GLOBOCAN2012より

 

ブリストル・マイヤーズスクイブ社の腫瘍免疫領域への取り組みについて


過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤による、腫瘍免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな相補的経路を標的とした腫瘍免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、腫瘍免疫学の科学の発展に尽力しています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011 年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014 年7 月23 日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、重篤な疾患を持つ患者を治療するための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的な製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995 年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが米国で規制当局の承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に確実に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の 2013 年12 月31 日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。