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プレスリリース

2014シカゴ集学的胸部腫瘍学シンポジウムにおいて複数の治療歴を有する進行期肺扁平上皮がんに対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の第2相臨床試験における客観的奏効率および生存率を発表

2014/10/31

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2014年10月30日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。

  • CheckMate-063試験において、オプジーボの単剤投与を受けた患者さんの客観的奏効率は15%でした。また、奏効期間の中央値には到達しませんでした。
  • オプジーボで治療を受けた患者さんの1年生存率は41%でした。
  • 薬剤に関連する有害事象および発生頻度については、早期の臨床試験と同様であり、推奨される治療アルゴリズムを用いて管理されました。
  • CheckMate-063試験に基づくFDAに対する段階的申請は2014年4月に開始されており、申請は年末までに完了する見込みです。

(ニュージャージー州プリンストン、2014年10月30日)‐ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE: BMY)は、研究段階にあるPD-1免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(ニボルマブ)を、少なくとも2回以上の治療歴を有し、その後進行が認められた進行期肺扁平上皮がんの患者さん117名(うち65%は治療歴3回以上)に単剤投与した第2相オープンラベル単一群試験であるCheckMate -063試験の結果を本日発表しました。最低でも約11ヵ月間の追跡調査を行った時点で、独立判定委員会(IRC)がRECIST 1.1の基準を用いて評価した同試験の主要評価項目である客観的奏効率は15%(95%信頼区間8.7~22.2)で、奏効期間の中央値には到達しませんでした。1年生存率は41%(95%信頼区間31.6~49.7)と推定されており、全生存期間の中央値は8.2ヵ月(95%信頼区間6.05~10.91)でした。以上のデータは、10月31日に開催される2014シカゴ集学的胸部腫瘍学シンポジウム(2014 Chicago Multidisciplinary Symposium on Thoracic Oncology)の全体会議で発表される予定です(抄録番号3462)。
Emory UniversityのWinship Cancer Instituteの教授であり腫瘍内科部門長のスレシュ・ラマリンガム医学博士は、次のように述べています。「第2相臨床試験であるCheckMate -063試験の結果は、効果的な治療の選択肢が存在しない、2回の治療を受けた後に病勢が進行した難治性肺扁平上皮がん患者さんにとって勇気づけられるものであるといえます。また、この結果は第1相臨床試験である003試験で認められた結果とも一致しています」。3次治療を受ける肺扁平上皮がん患者さんの1年生存率は、約5.5~18%と予測12されています。 17.1%の患者さんにおいて薬剤に関連するグレード3~4の有害事象が報告され、高頻度(2%以上)に認められたグレード3~4の有害事象は、疲労(4.3%)、肺臓炎(3.4%)および下痢(2.6%)でした。グレードにかかわらず、患者さんのうち12%が薬剤に関連する有害事象によって試験参加を中止しました。また、複数の併存症を有し、がんが進行した患者さんにおいて、薬剤に関連する死亡例が2件発生しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者であるマイケル・ジョルダーノは次のように述べています。「CheckMate -063試験の結果は、このがんの治療に腫瘍免疫学を用いることが、画期的な方法であることをこれまで以上に強く示す臨床的エビデンスです。当社は、肺がん患者さんにとっての重大なアンメットメディカルニーズの解消に日々努めており、承認済みのものも研究段階にあるものも含めて、さまざまな段階の治療や組織学により自社の免疫療法薬を評価する最も広範な開発プログラムを展開しています」。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の肺がん研究開発プログラムでは、さまざまな段階の治療、組織学およびバイオマーカーにより、承認済みまたは研究段階の自社の免疫療法薬を単剤または併用治療の一部として評価しています。このプログラムの一環として、6件の第3相臨床試験が現在進行中です。そのうち4件はオプジーボを単剤投与で評価するものです。3件は、治療歴のある患者さん(CheckMate -017試験、CheckMate -057試験、CheckMate -153試験)で、1件は化学療法による治療歴がない患者さん(CheckMate -026試験)で評価する試験です。また、新たに小細胞肺がん(156試験)および肺扁平上皮がん(104試験)と診断された患者さんを対象として、Yervoyと化学療法の併用を評価する2件の第3相臨床試験が進行中です。 
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、保健当局の承認を取得した場合のニボルマブの商標として、OPDIVOの名称を申請しています。

 

CheckMate-063試験のデザインと結果の詳細について


Checkmate -063試験は、プラチナ製剤を用いた治療およびそれ以外の全身療法を少なくとも1回を行った後に進行が認められ、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)基準による全身状態が0または1の進行期肺扁平上皮がんの患者さん117名に、オプジーボ3 mg/kg単剤を病勢の進行が認められるまで、または治療が中断されるまで2週間に1回静脈内投与して評価する第2相単一群オープンラベル試験です。主要評価項目は、独立判定委員会がRECIST 1.1の基準を用いて評価した客観的奏効率でした。奏効が認められた患者さんについては、奏効期間により詳細に評価を行いました。副次的評価項目としては、治験担当医師が評価した客観的奏効率を検討しました。また、全生存期間、無増悪生存期間およびPD-L1発現と効果の関連性を探索的評価項目として検討しました。同試験で治療を受けた患者さんは、いずれも少なくとも2回の治療歴を有し、65%の患者さんは3回以上の治療歴を有していました。また、患者さんの76%は直近の治療からの間隔が3ヵ月未満でした。直近の治療によって効果が得られた患者さんにおいても、患者さんのうち61%において病勢が進行していました。
最低でも約11ヵ月間の追跡調査を行った時点で、独立判定委員会がRECIST 1.1の基準を用いて評価した客観的奏効率は15%(95%信頼区間8.7~22.2)で、奏効期間の中央値には到達しませんでした。1年生存率は41%(95%信頼区間31.6~49.7)と推定されており、全生存期間の中央値は8.2ヵ月(95%信頼区間6.05~10.91)でした。客観的な奏効が認められた患者に加え、26%の患者では中央値で6ヵ月間(95%信頼区間4.73~10.91)の病勢安定が認められたため、病勢コントロール率(部分奏効と病勢安定の割合の和と定義)は41%でした。効果の有無についてはPD-L1の発現状況と無関係に観察しました。
17.1%の患者さんにおいて薬剤に関連するグレード3~4の有害事象が報告され、高頻度(2%以上)に認められたグレード3~4の有害事象は、疲労(4.3%)、肺臓炎(3.4%)および下痢(2.6%)でした。薬剤に関連する有害事象は、基本的にステロイド剤や実績のある安全性アルゴリズムに従った対症療法で管理することができました。グレードにかかわらず、患者さんのうち12%が薬剤に関連する有害事象によって試験参加を中止しました。また、複数の併存症を有し、がんが進行した患者さんにおいて、薬剤に関連する死亡例が2件発生しました。

 

オプジーボについて


がん細胞は、チェックポイント経路などの「制御」経路を悪用して免疫系から身を隠し、腫瘍が免疫系から攻撃されないようにします。オプジーボは、活性T 細胞に発現するチェックポイント受容体PD-1(programmed death-1)に結合する完全ヒトPD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の 7,000 人以上の登録患者さんを対象とし、オプジーボを複数のがん種において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する35 以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。これらの臨床試験には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)、頭頸部がん、神経膠芽細胞腫、および非ホジキンリンパ腫に関する承認申請資料として利用される可能性がある複数の臨床試験があります。
2013 年には、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんにおいて、米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック(優先承認審査)の指定を受けました。2014 年4月、ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、3 次治療の肺扁平上皮がん(NSCLC)に関し、段階的申請を開始しました。申請は、年末までに完了する見込みです。2014 年5月には、自家幹細胞移植やブレンツキシマブベドチン治療が不応となったホジキンリンパ腫において、FDA よりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。7 月4 日、小野薬品工業は、根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でオプジーボの製造販売承認を取得したことを発表しました。これにより、オプジーボは、世界で初めて規制当局の承認を取得したPD-1 免疫チェックポイント阻害薬となりました。9 月26 日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、FDA が同薬の生物学的製剤承認申請(BLA)を、治療歴を有する進行期悪性黒色種に関して優先審査の対象として受理したことを発表しました。処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく目標期日は、2015 年3 月30 日です。また、同適応に関し、FDA よりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。欧州連合(EU)においては、欧州医薬品庁(EMA)が進行期悪性黒色種におけるオプジーボの販売承認申請(MMA)を受理しました。この申請については、すでにEMA の医薬品委員会(CHMP)による迅速評価の対象に指定されています。

 

肺がんについて


肺がんは、世界的にがんによる死亡の主要な原因となっており、世界保健機関によると、毎年150万人以上の方が亡くなっています。NSCLCは肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ85%を占めています。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。世界的には、ステージⅠのNSCLCの場合、5年生存率は47%から50%、ステージⅣのNSCLCでは、5年生存率は2%まで減少します。
過去の治療成績から3次治療を受ける肺扁平上皮がん患者さんの1年生存率は、約5.5~18%と予測12されています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の腫瘍免疫領域への取り組みについて


過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤による、腫瘍免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな相補的経路を標的とした腫瘍免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、腫瘍免疫学の科学の発展に尽力しています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014 年7 月23 日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、重篤な疾患を持つ患者を治療するための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的な製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが米国で規制当局の承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に確実に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2013年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。

 


  1. Massarelli E, et al. Lung Cancer 2003;39: 55-61
  2. Penrod JR, et al. Poster presentation at ASCO 2014. Poster 45