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プレスリリース

小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社
腫瘍免疫について日本、韓国、台湾における戦略的提携契約を締結

2014/07/24

  • 両社は共同で、オプジーボ®、ipilimumab、および開発早期段階にある3つの腫瘍免疫関連化合物について、単剤および併用療法での開発・商業化を行います。
  • 小野薬品は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が有する4つの化合物を共同で開発・商業化する権利を取得することで、腫瘍免疫ポートフォリオを強化します。
  • ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は日本・韓国・台湾においてオプジーボ®を共同で開発・商業化する権利を取得し、腫瘍免疫学のリーダーシップを拡大します。
  • 本提携では、日本・韓国・台湾の患者さんもグローバル臨床試験に組み込み、効率的に開発を進めます。

小野薬品工業株式会社(以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ(以下、BMS)社は、がん患者さんの医療ニーズを満たすことが期待される複数の有望な免疫療法薬について、日本・韓国・台湾において、単剤および併用療法として共同で開発・商業化する戦略的な提携契約を締結しました。本契約の下、両社は共同で、さまざまながん腫を対象に、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ、以下、オプジーボ)およびipilimumab(海外での製品名:Yervoy ®)を開発・商業化を進めていきます。

オプジーボは、根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として世界に先駆けて日本で製造販売承認を取得したPD-1免疫チェックポイント阻害剤であり、現在、グローバルでさまざまながん腫を対象に35以上の臨床試験が実施されています。IpilimumabはCTLA-4免疫チェックポイント阻害剤であり、前治療歴のある進行性悪性黒色腫の治療薬として台湾で承認され、日本国内では悪性黒色腫・小細胞肺がん・非小細胞肺がんを対象に開発後期段階にあります。また、今回の提携契約には、BMS社の開発早期段階にある3つの腫瘍免疫関連化合物であるlirilumab(ナチュラルキラー細胞に発現するKIR受容体を阻害する抗体)、urelumab(CD137共刺激受容体作動薬)、およびBMS-986016(LAG3免疫チェックポイント阻害剤)が含まれます。

小野薬品とBMS社は共同で、日本・韓国・台湾において、オプジーボを中核として、これら化合物の単剤療法および併用療法の開発を進めます。また、これらの地域の患者さんもグローバル臨床試験に組み込み、効率的に開発を進めます。

小野薬品の代表取締役社長である相良 暁は、「今回のBMS社との提携により、世界初のPD-1阻害剤として日本で製造販売承認を取得したオプジーボの可能性を一層高めることができると考えています。また、BMS社とともに腫瘍免疫療法での併用試験を進めることで、がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供していきたいと思います」と述べています。

BMS社のCEOであるランベルト・アンドレオッティは、「小野薬品との提携により、世界中の患者さんのために腫瘍免疫ポートフォリオの可能性を最大化するという我々の目標の達成が後押しされます。また、腫瘍免疫学における我々のリーダーシップと両社のアジア地域での豊富な開発・販売経験が組み合わさるとともに、小野薬品との長期に渡る提携関係が一層強固なものとなります」と述べています。

今回の契約に基づき、小野薬品とBMS社は、すべての提携化合物について、日本・韓国・台湾において共同で開発・商業化していきます。開発費と利益については、オプジーボがBMS社の化合物(ipilimumab、lirilumab、urelumab、BMS-986016)と併用される場合は、両社で折半されます。オプジーボが単剤で使用される場合は、小野薬品が開発費の大部分を負担し、利益の大部分を得ます。BMS社化合物が単剤で使用される、もしくはBMS社の化合物同士が併用される場合は、BMS社が開発費の大部分を負担し、利益の大部分を得ます。

本契約締結前には、小野薬品はオプジーボを日本・韓国・台湾において独占的に開発・商業化する権利を有していました。一方、BMS社はオプジーボを日本・韓国・台湾以外の地域において独占的に開発・商業化する権利、およびipilimumab、lirilumab、urelumabおよびBMS-986016を全世界で開発・商業化する権利を有していました。

 

オプジーボ®(ニボルマブ)について


がん細胞は、免疫系から逃れて免疫攻撃から身を守るために、チェックポイント経路などの「制御」経路を悪用することがあります。オプジーボは、活性化T細胞に発現するチェックポイント受容体のPD-1(programmed death-1)に結合するヒトPD-1免疫チェックポイント阻害剤です。我々はオプジーボがこの経路を阻害することによって、免疫系ががん細胞を再認識し、攻撃し、破壊する能力を回復するかどうかを研究しています。
オプジーボは、2014年7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として、日本で製造販売承認されました。また、単剤もしくは他剤との併用療法としてさまざまながん腫を対象とした35以上の臨床試験が全世界にて実施されており、7,000名以上の患者さんが臨床試験に参加されています。その中には非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がん、頭頚部がん、膠芽腫、非ホジキンリンパ腫などが含まれます。2013年には、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんにおいて、米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック(優先承認審査)の指定を受けました。2014年5月には、自家幹細胞移植やbrentuximab治療が奏効しなかったホジキンリンパ腫において、FDAよりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。

 

Ipilimumab(海外での製品名:Yervoy ®)について


Ipilimumabは、細胞傷害性T細胞関連抗原4(CTLA-4)を阻害するヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4はT細胞の活性化を負に調節します。IpilimumabはCTLA-4に結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害することで、T細胞の活性化や増殖を増強することが確認されています。Ipilimumabは、T細胞による抗腫瘍免疫反応を介して、間接的に悪性黒色腫に奏効すると考えられています。Ipilimumabは、2011年3月25日にFDAより、根治切除不能または転移性の悪性黒色腫の治療薬として、3mg/kgの単剤療法にて承認されました。現在は、台湾を含む40カ国以上の国で承認されています。また、前立腺がんや肺がんを対象としたP3試験をはじめ、種々のがん腫を対象とした臨床試験が実施されています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の腫瘍免疫学について


過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、細胞傷害性治療または分子標的治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、長期生存や良好な生活の質はなかなか得られないものでした。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘うという主要機序をもつ薬剤を用いる、腫瘍免疫学という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな補完的経路を標的とした腫瘍免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの予想生存期間やがんとともに生きる方法を変えることを目標に、腫瘍免疫学の科学の発展に尽力しています。

 

小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社との提携について


小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の完全子会社であるメダレックス社を通じて、2005年以降、オプジーボを含む抗PD-1抗体の共同開発・商業化について、長期に渡る提携関係にあります。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によるメダレックス社買収に伴い、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2009年にオプジーボを北米で開発・商業化する権利を取得しました。2011年9月に締結した提携契約に基づき、小野薬品はブリストル・マイヤーズ スクイブ社に、北米以外の地域のうち小野薬品が開発・商業化する権利を留保する日本・韓国・台湾を除く全世界において独占的に開発・商業化する権利を供与しました。2014年7月23日に小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は新たな提携契約を締結し、日本・韓国・台湾において、オプジーボ、ipilimumab、および開発早期段階にある3つの腫瘍免疫関連化合物を共同で開発・商業化することとなりました。

 

小野薬品について


小野薬品は、日本の大阪市に本社を置き、特定領域における革新的な医薬品の創製に取り組む研究開発型の製薬企業です。糖尿病領域とがん領域に特に注力しています。詳細については、www.ono.co.jp をご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気をもつ患者さんを助けるための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的なバイオファーマ企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッターアカウントhttp://twitter.com/bmsnewsをご覧ください。