プレスリリース
アービタックス®における頭頸部がんの適応追加承認取得
アービタックス®は頭頸部がんにおける初の、唯一の分子標的薬
日本での新たな治療選択肢を提供
2012/12/21
ブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:エマニュエル・ブリン、以下、ブリストル・マイヤーズ)は、現在、メルクセローノ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:パリス・パナヨトプロス、以下、メルクセローノ)と販売提携している「アービタックス® 注射液100mg」(一般名:セツキシマブ/(遺伝子組換え))において、製造販売元のメルクセローノが、頭頸部がんを新たな効能・効果として、適応追加の承認を取得したと発表しました。
局所進行扁平上皮頭頸部がん(以下、LA-SCCHN)と再発又は転移性扁平上皮頭頸部がん(以下、R/M SCCHN)に対する、海外で実施した2つの第III臨床試験(EXTREME試験 (ErbituX in 1st-line Treatment of REcurrent or MEtastatic head and neck cancer)及びBonner試験)と、日本国内で実施した第II相臨床試験の結果に基づいて、2012年3月19日に厚生労働省へアービタックス®の頭頸部がんの適応追加の一部変更承認申請を行い、このたび承認を取得したものです。
ブリストル・マイヤーズ代表取締役社長兼CEOのエマニュアル・ブリンは次のように述べています。「アービタックスは、頭頸部がんにおける初の唯一の分子標的薬です。この新たな治療選択肢を日本の頭頸部がんの患者様に提供できることを、大変喜ばしく思います。EXTREME試験及びBonner試験と、日本で実施した臨床試験で示されたアービタックスの有効性と安全性の情報を基に、当社とメルクセローノの2社で協力し、情報提供活動に尽力して参ります。」
EXTREME試験は、R/M SCCHNの治療において30年ぶりに延命効果を明らかにした試験です。化学療法にアービタックスを併用することで生活の質を損なうことなく全生存期間を延長させることを示し(※1,2)、アービタックスと化学療法併用群と化学療法のみの群を比較して次のような改善が示されました。(※1)
- OS中央値は約3ヵ月延長し、死亡のリスクは20%低下(10.1 ヵ月 vs 7.4ヵ月;p=0.036; HR=0.797)
- 無増悪生存期間中央値が有意に改善 (5.6 ヵ月 vs 3.3ヵ月; p<0.0001; HR=0.538)
- 奏効率は約2倍 (36% vs 20%; p<0.001)
Bonner試験は、LA-SCCHNを対象とした臨床試験です。アービタックスと放射線療法の併用群では、放射線療法のみの群と比較して次のような改善が示されました。(※3)
- 局所病勢コントロール期間(LRC)の中央値は9.5ヵ月延長 (LRC中央値: 24.4ヵ月 vs 14.9ヵ月; p=0.005; HR=0.680)
- 全生存期間(OS)の中央値は約20ヵ月延長 (OS中央値: 49.0ヵ月 vs 29.3ヵ月; p=0.018; HR=0.725)
アービタックスの最も多い副作用はざ瘡様皮疹であり、皮疹の程度(グレード)と治療効果は相関があると報告されています。(※4,5) 日本人の結腸直腸がんの患者さんを対象とした使用成績調査において、5.7%に過敏反応(インフュージョン・リアクション)が発生し、このうちの約5分の1が重度な症状を示しました。(※6)
国内臨床試験の医学専門家である国立がん研究センター東病院頭頸部内科長の田原信先生は次のように述べています。「海外第Ⅲ相臨床試験と同じ併用レジメンを用いて実施された2つの国内第Ⅱ相臨床試験により、海外において確立されているアービタックスの有効性と安全性が日本の頭頸部がん患者様においても期待できることが明らかになりました。これは、日本の頭頸部がんの治療において革新的な一歩を踏み出したことを意味します。」
また、東京医科歯科大学医学部附属病院頭頸部外科教授で、日本頭頸部癌学会前理事長である岸本誠司教授は次のように述べています。「アービタックスは、欧米においては既に頭頸部がんに対する標準的治療のオプションとして使用されている唯一の分子標的薬です。現在、限られた治療選択肢の中で疾患と向き合っている患者様にとって、そして、我々医療従事者が治療戦略を考える上で、アービタックスは非常に有用な治療法になると確信しています。」
参考文献
- Vermorken JB, et al. N Engl J Med 2008;359:1116-27.
- Mesia R, et al., Ann Oncol 2010:21:1967-73.
- Bonner JA, et al. N Engl J Med 2006. 9;354(6):567-78.
- Salz L et al. Proc Am Soc Clin Oncol 22: 2003 (abstr 817)
- Bonner JA, et al. Lancet Oncol. 2010 Jan;11(1):21-8.
- Ishiguro M, et al. Jpn J Clin Oncol 2012;42(4):287-294.
- Curran D, et al., J Clin Oncol 2007;25:2191-97.
頭頸部がん及び結腸直腸がんにおけるアービタックスの詳細な情報については、以下のサイトをご覧ください。
www.globalcancernews.com
アービタックス(Erbitux)について
Erbituxは画期的新薬(ファーストインクラス)であり、EGFRを標的とするIgG1モノクローナル抗体です。Erbituxの作用機序は、EGFRに対して特異的に結合するという点で従来の標準的な化学療法とは明確に異なります。この結合によって受容体の活性とそれ以降のシグナル伝達が抑制され、正常組織への腫瘍細胞の増殖、浸潤と新しい部位への転移が抑えられます。また、化学療法や放射線療法によって引き起こされた損傷を修復する腫瘍細胞の活性を抑制し、腫瘍内での血管新生を抑制するとも考えられており、それによって腫瘍の成長を全体的に抑えるとされています。
Erbituxの最も多い副作用はざ瘡様皮疹であり、皮疹の程度(グレード)と治療効果は相関があると報告されています。また、日本人の結腸直腸がんの患者さんを対象とした使用成績調査において、5.7%に過敏反応(インフュージョン・リアクション)が発生し、このうちの約5分の1が重度な症状を示しました。
Erbitux は92カ国で市販承認を取得しており、大腸がんの治療薬としても92カ国で承認されています。また、局所進行の扁平上皮頭頸部がんの治療薬として、90カ国で承認を受けています。
日本では、イムクロン、ブリストル・マイヤーズスクイブ、およびメルクセローノ株式会社が共同でErbituxの開発と実用化を進めており、ブリストル・マイヤーズ株式会社とメルクセローノ株式会社が販売提携をしています。
ブリストル・マイヤーズ株式会社について
ブリストル・マイヤーズ株式会社は、世界的なバイオファーマ企業であるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の日本法人として、深刻な病気を持つ患者さんを助けるための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命としています。詳細については、http://www.bms.co.jp/をご覧ください。