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プレスリリース

抗悪性腫瘍剤「アービタックスR」の製造販売が承認

2008/07/16

ブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:マーク・W・ライト、以下、ブリストル・マイヤーズ)、メルクセローノ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:ウェイン・パタソン、以下、メルクセローノ)およびイムクロン社(NASDAQ:IMCL)が、共同開発を行ってきたセツキシマブ製剤(販売名:アービタックスR注射液100mg、以下、アービタックスR)が2008年7月16日(水)に、厚生労働省より「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の治療薬として、製造販売承認されましたことをお知らせします。

今回提出されたデータに基づき、アービタックスRは、治癒切除不能な転移性大腸がん(結腸直腸がん)のセカンドライン治療および以降の治療での使用が可能となります。日本での製造販売承認はメルク株式会社により取得されました。当社はメルクセローノと共に、日本でのアービタックスのプロモーション活動を行っていきます。

アービタックスRは、2005年7月に開催された第5回未承認薬使用問題検討会議での討議を経て、国内外の臨床試験成績に基づき、2007年1月31日に製造販売承認申請を行っておりました。

アービタックスRはEGFR(ヒト上皮細胞増殖因子受容体)と特異的に結合するヒト/マウスキメラ型モノクローナル抗体で、腫瘍細胞のEGFRを介したシグナル伝達経路を阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する抗悪性腫瘍剤です。海外においてイリノテカン塩酸塩水和物(以下、イリノテカン)を含む化学療法、およびオキサリプラチンを含む化学療法が無効又は適応とならない結腸・直腸がんに対する第Ⅲ相試験が実施され、ベストサポーティブケア(対症療法)群に比べ、アービタックスR群では生存期間の有意な延長が認められました。

オキサリプラチンを含む化学療法による一次治療が無効となった結腸・直腸がんに対する第Ⅲ相試験では、イリノテカン単独群と比較して、アービタックスR/イリノテカン併用群には生存期間の有意な延長が認められなかったものの、無増悪生存期間については有意な延長が認められました 。なお、生存期間に有意差が認められなかったことは、イリノテカン単独療法群のほぼ半数において、試験終了後に後治療としてアービタックスRを含む化学療法が行われたことが影響している可能性があります。

イリノテカンを含む化学療法が無効となった結腸・直腸がんに対するアービタックスR単独群とアービタックスR/イリノテカン併用群の比較第Ⅱ相試験が実施され、アービタックスR/イリノテカン併用群の奏効率は有意に高いことが確認されました。国内においても、イリノテカンを含む化学療法およびオキサリプラチンを含む化学療法が無効となった結腸・直腸がんを対象としてアービタックスR/イリノテカン併用療法の第Ⅱ相試験が実施され、有効性が認められています。

一方で、モノクローナル抗体投与に伴って発現することが知られているインフュージョンリアクション*1や、腫瘍細胞以外の正常組織に存在するEGFRに結合することによって発現する皮膚症状などが、重大な副作用として報告されています。

国内での治験症例が少なく、製造販売後には安全性に関する情報収集が必須であることから、承認条件として「製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性および有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」が付与されました。

ブリストル・マイヤーズはメルクセローノと協力し、患者さんの安全性の確保を第一に考え、同製品の適正使用を推進していきます。発売後一定期間、施設、医師および患者要件を設け、アービタックスRの使用成績調査(全例調査)に協力いただける医療機関に本剤をご使用いただくことになっております。その際、医療機関および医師の方々に、両社の担当者より本剤の適正使用および副作用に関してご説明させていただきます。また、医療機関および医師の方々には、投与前に患者さんとご家族の方に本剤に関する適切なご説明を十分に行っていただき、同意を得た上でご使用いただくことをお願いしてまいります。

アービタックスRは、グローバルではMerck KGaA、イムクロン社、およびブリストル・マイヤーズ スクイブ社により共同開発されました。米国では2004年2月に承認され、欧州を含む世界71カ国で結腸・直腸がんに関する適応で承認されています。

 

大腸がんについて


大腸がんの死亡者数はこの20年で2倍以上に増え続け*2、現在では女性のがん死亡原因の一位*2になっています。また、2020年までの予測では、肺がん、胃がんを抜いて男女合わせて日本人のがん罹患数の一位*3になっています。

 

アービタックスRの概要


製品名 アービタックスR注射液100mg
一般名 セツキシマブ(遺伝子組換え)
製造販売承認取得日 2008年7月16日
製造販売元 メルク株式会社
販売 メルクセローノ株式会社
販売提携 ブリストル・マイヤーズ株式会社
効能・効果 EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
用法・用量 通常、成人には週1回、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400 mg/m2(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250 mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。

 

ブリストル・マイヤーズ株式会社について


ブリストル・マイヤーズ株式会社は、「より長く豊かな人生の実現」をミッションとする世界的なバイオ医薬品企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>をご覧ください。

  • *1インフュージョンリアクションとは、薬剤を注射したことにより発現するアレルギー反応で、主な症状は、気管支痙攣、蕁麻疹、低血圧、意識消失、ショック等が含まれます。
  • *2厚生労働省「人口動態調査・平成17年」
  • *3「がん統計白書2004」
  • *アービタックスRの商標は、イムクロン社が保有しています。

 

同ニュースリリースに関するお問合せ先:
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